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  1. 山形県議会 2022-12-01
    12月07日-03号


    取得元: 山形県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-17
    令和 4年 12月 定例会(第409号)  令和四年十二月七日(水曜日)午前十時零分 開議議事日程第三号  令和四年十二月七日(水曜日)午前十時開議第一   議第百二十七号 令和四年度山形県一般会計補正予算(第五号)第二   議第百二十八号 令和四年度山形県土地取得事業特別会計補正予算(第一号)第三   議第百二十九号 令和四年度山形県港湾整備事業特別会計補正予算(第二号)第四   議第百三十号 令和四年度山形県流域下水道事業会計補正予算(第一号)第五   議第百三十一号 令和四年度山形県電気事業会計補正予算(第一号)第六   議第百三十二号 令和四年度山形県工業用水道事業会計補正予算(第二号)第七   議第百三十三号 令和四年度山形県水道用水供給事業会計補正予算(第二号)第八   議第百三十四号 令和四年度山形県病院事業会計補正予算(第二号)第九   議第百三十五号 山形県特別職の職員の給与等の支給に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十   議第百三十六号 山形県職員等の給与に関する条例等の一部を改正する条例の設定について第十一  議第百三十七号 山形県職員の定年等に関する条例の一部を改正する等の条例の設定について第十二  議第百三十八号 個人情報の保護に関する法律施行条例の設定について第十三  議第百三十九号 山形県事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十四  議第百四十号 山形県個人番号の利用に関する条例の一部を改正する条例の制定について第十五  議第百四十一号 都市計画街路事業(単独)に要する費用の一部負担について第十六  議第百四十二号 下水道事業(単独)に要する費用の一部負担について第十七  議第百四十三号 道路事業(単独)に要する費用の一部負担について第十八  議第百四十四号 急傾斜地崩壊対策事業(単独)に要する費用の一部負担について第十九  議第百四十五号 一般県道余目松山線道路施設長寿命化対策事業庄内橋桁製作架設工事請負契約の締結について第二十  議第百四十六号 当せん金付証票の発売について第二十一 議第百四十七号 山形県立自然博物園の指定管理者の指定について第二十二 議第百四十八号 山形県志津野営場の指定管理者の指定について第二十三 議第百四十九号 悠創の丘の指定管理者の指定について第二十四 議第百五十号 第一酒田プレジャーボートスポット等の指定管理者の指定について第二十五 議第百五十一号 山形県酒田海洋センターの指定管理者の指定について第二十六 議第百五十二号 加茂港緑地等の指定管理者の指定について第二十七 議第百五十三号 山形県飯豊少年自然の家の指定管理者の指定について第二十八 議第百五十四号 山形県体育館及び山形県武道館の指定管理者の指定について第二十九 議第百五十五号 医療事故に係る損害賠償の和解についての専決処分の承認について第三十  議第百五十六号 山形県公害審査会委員の任命について第三十一 県政一般に関する質問本日の会議に付した事件 議事日程第三号に同じ。出席議員(三十九名)  二番 梅津庸成議員  三番 今野美奈子議員  四番 菊池大二郎議員  六番 高橋 淳議員  七番 遠藤寛明議員  八番 相田光照議員  九番 遠藤和典議員  十番 梶原宗明議員 十一番 関  徹議員 十二番 山科朝則議員 十三番 菊池文昭議員 十四番 松田敏男議員 十五番 青木彰榮議員 十六番 青柳安展議員 十七番 五十嵐智洋議員 十八番 柴田正人議員 十九番 渋間佳寿美議員二十一番 矢吹栄修議員二十二番 小松伸也議員二十三番 渡辺ゆり子議員二十四番 石黒 覚議員二十五番 吉村和武議員二十六番 高橋啓介議員二十七番 島津良平議員二十八番 加賀正和議員二十九番 森谷仙一郎議員 三十番 鈴木 孝議員三十一番 楳津博士議員三十二番 奥山誠治議員三十三番 小野幸作議員三十四番 木村忠三議員三十五番 金澤忠一議員三十六番 伊藤重成議員三十七番 舩山現人議員三十八番 田澤伸一議員三十九番 森田 廣議員 四十番 坂本貴美雄議員四十一番 星川純一議員四十二番 志田英紀議員欠員(四名)  説明のため出席した者知事          吉村美栄子君副知事         平山雅之君企業管理者       沼澤好徳君病院事業管理者     大澤賢史君総務部長        小林剛也君みらい企画創造部長   岡本泰輔君防災くらし安心部長   奥山 賢君環境エネルギー部長   安孫子義浩君しあわせ子育て応援部長 布川理枝子君健康福祉部長      堀井洋幸君産業労働部長      我妻 悟君観光文化スポーツ部長  西澤恵子君農林水産部長      地主 徹君県土整備部長      小林 寛君会計管理者       佐藤紀子君財政課長        相田健一君教育長         高橋広樹君公安委員会委員長    吉田眞一郎君警察本部長       丸山彰久君代表監査委員      松田義彦君人事委員会委員長    安孫子俊彦君人事委員会事務局長   大場秀樹君労働委員会事務局長   富樫健治君     午前十時零分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) これより本日の会議を開きます。 △日程第一議第百二十七号議案から日程第三十議第百五十六号議案まで及び日程第三十一県政一般に関する質問 ○議長(坂本貴美雄議員) 直ちに日程に入ります。 日程第一議第百二十七号令和四年度山形県一般会計補正予算第五号から、日程第三十議第百五十六号山形県公害審査会委員の任命についてまでの三十案件を一括議題に供し、これら案件に対する質疑と、日程第三十一県政一般に関する質問を併せ行います。 質疑及び質問の通告がありますので、通告順により発言を許可いたします。 九番遠藤和典議員。 ◆9番(遠藤和典議員) おはようございます。遠藤和典でございます。当選以来四回目の一般質問となります。 まずもって、二〇二〇年春以来、新型コロナウイルス感染症対策に御尽力されています医療従事者皆様、関係者皆様に深く感謝の意を表させていただきます。 現時点では、ようやく様々な場面でコロナ前と変わらぬ状況になってきたと思っておりますけれども、マスク着用に代表される生活様式は続いていると認識をいたします。県民・国民皆様の一時的な生活様式の変化なのか、コロナ禍を契機とする新生活様式の定着なのか見極めながら、施策展開を進めていかなければならない課題が多いと思います。 さきの六月定例会後実施されました参議院議員通常選挙や常日頃の活動を通じて多くの県民皆様の貴重な御意見に接する機会がありました。県民皆様の声を大事にしながら、この機会をいただきました自由民主党会派の皆様に感謝申し上げ、質問に入ります。 昨今、急激な円安が進行しております。昨年の今日、十二月七日の米ドル対円相場は百十三円五十銭、昨日の同相場は百三十六円九十三銭、一年で実に二〇・六四%の円安であります。十月下旬の百五十円台に比べれば一息ついたという感はありますけれども、大幅な円安と言えると思います。この事象に対し各メディアからは、「円安で大変だ」「日本が安くなった」とのネガティブ、マイナスの報道が目につきます。実際に円安による影響は、輸入品価格全般の高騰、エネルギー価格の高騰、物価上昇などに表れていると認識をいたします。 一方で、マイナスがあればプラスもあります。輸出関連企業は企業業績が伸びるでしょうし、インバウンド需要も望めます。マイナス面だけでなくプラスの側面を我々地方に及ぼすこと、それも直接的に及ぼす提案をいたします。 顕著にプラスと考えるのが、政府が持つ外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会における円安に伴う差益であると考えます。現在、外為特会で保有するドル資金は対米ドル九十円台、百円台の際のものであり、昨今の為替介入百四十五円、百五十円での介入、覆面介入に使用され、差益が生じております。一説では四十兆円に迫る差益が出ているとする論者もいらっしゃいます。 そこで、この外為特会における差益を輸入原材料、輸入品、生活必需品、エネルギー価格の高騰に苦しむ地方及び地方住民の生活改善に活用すべきではないでしょうか。現在の差益はもとより、今後も発生が予想される外為特会における差益を機動的に、適宜に地方公共団体及び地方活性化・地方創生に活用できる仕組みを地方公共団体として政府への施策提案なり全国知事会なりで提案、声を上げてみてはいかがでしょうか、総務部長に御見解を問います。 さてそこで、「円安の 効果地方に 還元を 埋蔵金に 再び光」「円安の 効果地方に 還元を 埋蔵金に 再び光」と考えますがいかがでしょうか。 次、「都市部に供給されているきれいな空気・水は地方がつくっている。都市部住民は地方に配慮すべきではないか」という議論がかつてあったやに記憶しております。原発事故の後も、「都市部のエネルギーは地方がつくっている」との言説もありました。一方で、都市部での税収が地方で使われているのではないかという議論もありました。これらの都市部対地方という構図の根本には、富の偏在、税収の偏在があると考えます。 税収偏在のならし方として、この後、財源の垂直調整であります地方交付税について質問させていただきますが、まずは財源の水平調整法について御提案を申し上げます。 二〇二二年九月二十二日、東京証券取引所では、経済産業省からの委託事業として試行取引を行うカーボン・クレジット市場の実証を開始いたしました。二酸化炭素排出量取引がいよいよ本格化してきたと考えます。 県は、これまでもCO2削減量をJ-クレジット制度を活用し販売、一定の成果を上げていると認識をします。この取組は、購入希望者を募集し、相対取引で価格の決定がなされているわけですが、この取組を一層深化させ、販売量、販売価格ともに上昇させるべきではないでしょうか。 そこで、クレジット市場は、今、実証実験段階です。この機会に、一つ、自治体を主体として市場に参加可能とすること、二つ、企業でなく自治体が販売するクレジットにはプレミアム分を上乗せして通常より高値で販売可能とする仕組みの構築などを全国知事会なりを通じて経済産業省に提案してみてはいかがでしょうか。地方自治体プレミアム上乗せ分つきクレジットを購入した企業としては、一つ、地方自治体を応援しているということを明確にできる、二つ、当該自治体から地方に理解がある企業として公表してもらえる、などのメリットが考えられます。 現在実施中の事業を相対取引から市場へ移行させることでより効果が望めるのではないかと考えますが、環境エネルギー部長いかがでしょうか。 さてそこで、「相対を 市場に移行 提案も 試行期間が モノ言うチャンス」「相対を 市場に移行 提案も 試行期間が モノ言うチャンス」と考えますがいかがでしょうか。 次、本年九月二十二日付NHKニュースサイト記事より。「政府 マイナンバーカードの普及状況 交付金配分に反映方針」との見出しで、「来年度、新たに設ける『デジタル田園都市国家構想交付金』の配分に、自治体ごとのカードの普及状況を反映させる方針を固めました。」とありました。また、同記事で、「来年度の地方交付税の算定にもカードの交付率を反映させる方針で、普及に取り組む自治体を後押ししたい考えです。」との方針も記事として示されています。 「おいおいおい、ちょっと待った」との感想であります。交付金にマイナカードの普及率をリンクさせることにも異論がありますし、いわんや地方交付税をやというところです。 地方交付税は、関係するいかなる書物をひもときましても地方固有の財源であることが共通認識であると考えます。マイナカードの普及という政策誘導の道具として地方交付税を用いることの是非について及び交付金の配分方法についても、総務部長に県としての御見解、政府への対応についてお伺いいたします。 次、初当選直後の二〇一九年九月定例会一般質問にて、私は「一億円の税収増を達成しても、その七五%が基準財政収入額に算定されるため交付税が減り、財政効果は二千五百万円になります」と、何の疑問もなく〇・七五という現行係数を前提に質問しておりました。残りの〇・二五部分、いわゆる留保財源について県の見解を問います。 この留保財源、標準的な税収入に対する基準財政収入額に算入されない割合と私は理解しておりますが、交付税制度創設時では市町村分で〇・三、都道府県分は〇・二でありました。現在〇・二五となっています。 端的に問います。この数字は、今現在の我が県にとって、そして将来の我が県にとって妥当なのでしょうか。 一般的に、税収が好調で自助努力に自信がある自治体は留保財源率、高いほうがいいでしょう。一方で、財政力が弱い自治体は留保財源率を低くし、交付税の財源調整機能に期待すると考えます。また、留保財源率の変動は交付税総額には影響しません。交付税総額というパイをどう分け合うかという議論だと考えます。 県の御見解を総務部長にお尋ねいたします。 さてそこで、「将来に 安心生むの どちらかな 留保財源 見解いかに」「将来に 安心生むの どちらかな 留保財源 見解いかに」と考えますがいかがでしょうか。 次、基準財政需要額算定に当たっては、皆様御案内のとおり、算定項目と測定単位が関係しています。算定項目には警察費、土木費などが並ぶとともに、令和四年度においては、地域の元気創造事業費、地域デジタル社会推進費など政策誘導的な算定項目が四つ見受けられます。そうなんです、項目を追加することによって配分額を変えることが可能なのであります。この前提に基づいて、我が県に有利な配分が可能になるよう算定項目の追加を地方交付税法第十七条の四「交付税の額の算定方法に関する意見の申出」制度を活用し提案してみてはいかがでしょうか。 具体的に提案いたします。脱炭素推進費もしくは温暖化防止推進費などとして基準財政需要額の算定項目に追加し、測定単位を森林面積やCO2の吸収量とすれば、山だらけ、森林面積が多い我が県に多くの配分が見込めるのではないでしょうか、御見解を総務部長にお伺いいたします。 次、水素について。昨年来、水素エネルギーの活用について、複数回の質問機会において提言してまいりました。さきの九月定例会でも奥山議員より利活用の提言がありました。皆様の御理解も進んでいるものと捉えております。 以前の質問機会にも提言いたしましたが、「卵が先か鶏が先か」、FCV燃料電池車普及に向けては水素ステーションの設置が先であります。現在研究が進んでいる水素エンジン車についても同様です。供給元がなければ普及しません。 県民皆様の水素エネルギーへの理解促進に向けて来年度予算への水素ステーション設置に係る予算計上を求めますが、環境エネルギー部長、いかがでしょうか。 次、八月三十日付読売新聞記事より。「脱炭素へ水素輸送網を構築、受け入れ港を複数整備へ…現在は神戸港のみ」との報道がありました。国は、来年度改定する予定とされる海洋基本計画に水素の安定確保に向けた海上輸送網構築を記載する考えであると認識しています。今年六月、予算特別委員会の質疑の際にも触れましたが、ブルー水素輸送の実証実験成功を受けて、全国各地にブルー水素輸入港の整備方針を固めたものと考えます。 昨年の予算特別委員会では、水素での発電需要を見越して、電気事業会計の現金預金を活用して水素関連設備の整備を提言しておりますが、水素の供給活用に向けた大きな流れを受けて、我が県酒田港もいち早く受入れ港へ向けて声を上げていくべきと考えますが、県土整備部長の御見解を問います。 さてそこで、「酒田から 供給される 脱炭素 今こそ声を 未来に向けて」「酒田から 供給される 脱炭素 今こそ声を 未来に向けて」と考えますがいかがでしょうか。 次、さきの十月閉会中決算審査、文教公安分科会にて、島津委員、山科委員より今年の国体成績の不振を受けてそれぞれ質疑がありました。両議員と問題意識を共有するとともに、両議員に敬意を表しながら、私からも質問させていただきます。 今年の国体、第七十七回国民体育大会、天皇杯順位は四十位、平成四年のべにばな国体以降でワースト二位の成績でありました。これまでの二十位台、三十位台の成績が四十位という結果に、スポーツ関係者皆様から御心配の声をいただきました。加えて中学校、中体連東北総体での成績もいま一つ振るわず、先々への悲観の声もいただきました。 そこで教育長に三点お尋ねいたします。 一点目、成績不振への要因については文教公安分科会での質疑応答がありましたので、不振という事実への認識と来年度以降に向けた中長期の改善策についていかがお考えでしょうか。令和六年から国民体育大会の名称が国民スポーツ大会に変更になり、加えて十年後には二巡目が終わり、三巡目をどうするか、今、在り方を含めて検討が始まっていると認識しております。この三巡目に向けて、県として三巡目の早い時期に国民スポーツ大会の誘致を考えているのか否か、いかがお考えでしょうか。 二点目、人口減少に伴い、様々な競技において競技人口の減少が危惧されております。現在、国においては、学校部活動の地域移行が検討・実施されようとしていると認識しております。これを好機と捉えて、生徒・学生が地域スポーツクラブを主体に多様なスポーツへチャレンジする機会を増やし、競技人口の底上げを期待してみてはいかがでしょうか、御認識を問います。 三点目、べにばな国体から約三十年、当時現役選手として活躍され、その後指導者として後進の指導に当たってこられた方々も、それぞれ三十年経過いたしました。次の世代の指導者育成という課題にどう向き合っていくお考えなのか、お伺いいたします。 それぞれのスポーツ、競技力向上のためには、選手の育成、指導者の育成、競技施設のハード整備、いずれも重要と考えます。 さてそこで、「スポーツが 元気な県を もう一度 選手活躍 県民笑顔」「スポーツが 元気な県を もう一度 選手活躍 県民笑顔」と考えますがいかがでしょうか。 次、九月補正予算にて、ポストコロナに向けたインバウンド誘客の推進として一億二百五十万円の予算を議決いたしました。事業内容は、海外現地プロモーション事業海外現地旅行会社招請事業インバウンド旅行商品造成支援事業であります。これはこれで御期待申し上げるところではありますが、アフターコロナを背景とした世界の潮流は個人旅行にトレンドが変わってきているのではないかと考えます。BtoB--ビジネス・ツー・ビジネス、企業体から企業体へから、BtoC--ビジネス・ツー・コンシューマー、企業体から直接消費者への感覚が増加していると認識しております。 今回のこれらの補正予算事業はBtoBの範疇にあるものではないでしょうか。今後、円安を背景に本格的にインバウンドの回復が見込まれる中で、個人旅行への対応が求められると考えます。行政が対応可能なダイレクトマーケティング手法及び観光のプロフェッショナル人材の育成、行政への関わりについてどのような認識でしょうか。 本日は本会議場での一般質問ですので、他県の成功事例、参考事例にはあえて触れません。ただ、旅行業界では成功しているとされる他県の事例やほかの事例が複数あります。他県との情報共有の在り方を含めて観光文化スポーツ部長に御所見を伺います。 さてそこで、「消費者へ 直接届く 情報を 団体向けを 個人に向けて」「消費者へ 直接届く 情報を 団体向けを 個人に向けて」と考えますがいかがでしょうか。 次、県は、令和三年三月、第三次山形県森林整備長期計画・やまがた森林ノミクス加速化ビジョンを策定し、令和十二年までの十年間の取組内容を明らかにしております。結構なことだと評価するものであります。 一方で、加速化ビジョン策定から約半年後の令和三年十月一日に、これまでの公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律が名称ともに改正され、新たに「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」、長いので通称「都市(まち)の木造化推進法」と呼ばれている法律が施行されました。 この法改正の最大の特徴は、脱炭素社会の実現を法の目的として明確に位置づけ、木材利用促進の対象をこれまでの公共建築物から一般建築物へ拡大したことにあると認識しております。新たに創設された国や地方公共団体と事業者などによる協定制度を用いて民間一般建築物への木材利用を促進することができます。これは先進地の例としてですけれども、福井県と福井県経済団体連合会、大分県と大分銀行などなどであります。 現時点で、東北でこの協定締結された自治体はないと認識しております。ゼロカーボンやまがた二〇五〇を宣言した我が県として、この法改正への速やかな対応が求められると考えます。 そこで農林水産部長に二つお尋ねいたします。 一つ目、加速化ビジョンの三ページ目に「本ビジョンの計画期間は、令和三年度から令和十二年度までの十年間とします。なお、森林・林業・木材産業を巡る情勢の変化に柔軟に対応して施策を展開するため、必要に応じて見直し・改定を行うものとします。」との一文があります。今回の法改正は情勢の変化に当たると私は思いますが、見直し改定の考えはないのでしょうか。 二つ目、創設された建築物木材利用促進協定を東北でいち早く利用すべきと考えますが、御所見を伺います。 さてそこで、「民間の 物件気(木)になる 法改正 迅速対応 森に活力」「民間の 物件気(木)になる 法改正 迅速対応 森に活力」と考えますがいかがでしょうか。 以上、壇上での質問を終わります。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 小林総務部長。 ◎総務部長(小林剛也君) 遠藤議員から私に四問質問がございましたので順次お答え申し上げます。 一問目、円安効果の地方財政への波及についてお答え申し上げます。 議員から御紹介のありました外国為替資金特別会計、いわゆる外為特会についてですが、これは、外国為替相場を安定させるため財務省が設けた特別会計となっております。為替相場は、基本的には各国の経済状況等を反映し、市場において決定されるものですが、短期間のうちに大きく変動するなど不安定な動きを示すことは望ましくないことから、政府において為替介入を行う場合がございます。外為特会では主に外貨資産を管理しており、例えば、円相場が急落した際には外貨資産を為替市場で売却する等の介入が実施されるところでございます。 十一月十八日に財務省から公表されました外国為替平衡操作の実施状況によりますと、政府において九月二十二日に円買いドル売りの介入を行っており、為替差益が発生しているということは承知してございます。しかしながら、国会での岸田総理大臣の答弁や松野官房長官の記者会見でもありましたとおり、外為特会が保有する外貨資産は将来の介入等に備え保有しているものであり、経済対策の財源の確保のために用いることは適切でないとの認識が示されているところでございます。 今後も、国会等においてこのような為替介入に伴う差益の活用の可能性について議論がなされていくものと思われますが、県としては、まずはその動向を注視してまいりたいと思っております。 なお、急激な円安やウクライナ危機によって物価高騰があるところでございますけれども、政府は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の中にコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分及び電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金というものを設けてございます。本県には、一点目のコロナ禍における原油価格・物価高騰対応分というのが約五十五・六億円配分されてございます。また、二点目の電力・ガス・食料品等価格高騰重点支援地方交付金が約五十億円配分されております。合計で約百五・六億円配分されておりまして、本定例会おいても、この財源を使った様々な事業を提案させていただいているところでございます。 県としましては、今後とも全国知事会等の機会を捉えて、これら交付金の追加配分をはじめ財源措置の拡充等について要望等を行い、それらを積極的に活用することで、物価高騰といった諸課題への対応と持続可能な財政運営の両立に努めてまいりたいと思います。 二問目でございます。政策目的に地方交付税を用いることの是非についてという御質問がございました。 まず、マイナンバーカードの交付率と普通交付税との関係でございますけれども、本年六月のデジタル田園都市国家構想基本方針において、二〇二三年度から地域のデジタル化に係る財政需要の算定にマイナンバーカードの交付率を反映することについて検討するとされております。また、デジタル田園都市国家構想交付金もございまして、これについても、その申請要件とか採択時の加点要素といたしまして、マイナンバーカードの交付率を一部活用するということが既に決定しているところでございます。 全国知事会では、こうした政府の動きに対し、地方の意見を十分に踏まえた制度設計を行うべきという提言をしておりまして、県としても、引き続き知事会などを通じて必要な意見を政府に伝えてまいりたいと思っております。 他方、県では、Yamagata 幸せデジタル化構想実現及び加速に向けまして、マイナンバーカードの普及促進は重要であると考えており、普及率向上に努めてきたところでございます。 本県全体の交付率でございますが、昨年十一月は三四・九%でありました。本年十月は四九・一%ということで、一四ポイントほど上昇してございます。全国平均は五一・一%ですので、二ポイントほど及ばないところでありますが、この一年間の伸び率というところを見ますと、本県は全国六位の高さとなっているところでございます。こうした高い伸び率を支えてきたのは、県内各市町村及び住民の皆様の御努力であると考えております。 例えば、西川町と飯豊町は交付率は六〇%を超えています。さらに、県内十二の市町村が既にマイナンバーカードの交付率全国平均を超えているところでございます。これら交付率の高い市町村での取組をちょっと分析してみますと、休日や夜間申請窓口の開設を行ったりとか、公民館などにおける出張申請受付の機会を数多く設けていらっしゃいます。県としても、今年度予算において、複数の市町村が連携して大規模商業施設等で出張申請受付を行う場の提供とか、マイナンバーカードを利用した住民票等のコンビニ交付サービス導入に対する補助制度、こういったものでしっかりとサポートさせていただいているところでございます。 県財政に責任を持つ立場から申し上げれば、交付率を政策誘導に使うことの是非という議員御指摘の論点、これも重要なことだと思っておりますが、普及に向け実際に御努力されてきた市町村及び住民の皆様のために、また県財政のためにも、マイナンバーカードの交付率を高めて、交付税や交付金を少しでも多く獲得できるように努めることも重要ではないかと考えております。 Yamagata 幸せデジタル化構想では、デジタル技術が得意な方も苦手な方も誰一人取り残さない社会の構築を目指しております。この観点から申し上げますと、本年五月に導入した交通系ICカード「チェリカ」でございますけど、これと同様、マイナンバーカードを申請することで、スマホをお持ちでない高齢者などの方でも各種行政サービスやキャッシュレス決済、これはマイナンバーカードを申請するとマイナポイントをもらえますので、スマホを持っていなくてもポイントの活用が可能となってまいります。こういったことで、デジタル社会の様々な恩恵を、苦手な方も得意な方も受けられるようにしたいというふうに考えています。 県としましては、市町村などの関係者と連携しながら、マイナンバーカードの普及拡大に向けて引き続き取り組んでまいります。 三番目の御質問でございます。基準財政収入額の算定係数の妥当性という御質問でございました。 普通交付税でございますけれども、各地方団体における基準財政需要額から基準財政収入額を差し引いた額となりますが、この基準財政収入額については、議員御指摘のとおり、原則として地方税等の七五%が算定されることとなっております。残りの二五%については普通交付税の算定には用いられない、言ってみれば、各自治体が自由に使うことのできるいわゆる留保財源となります。 この留保財源の割合、留保財源率でございますけれども、平成十五年度に見直しがございまして、都道府県の税収確保のインセンティブの強化及び財源保障範囲の縮小を図り、都道府県が自らの責任と財源で対応すべき部分を拡大させるという趣旨で、二〇%から二五%に引き上げられたところでございます。 そもそも地方交付税の総額は、国税五税の一定割合を基本としながら、地方財政全体の標準的な歳入、歳出の見積りに基づいて、全国のマクロベースで決定されます。したがいまして、議員御指摘のとおり、留保財源率の見直しは交付税総額には影響しません。一方で、平成十五年度の留保財源率の引上げ時におきましては、基準財政収入額の減少による各県配分額が大きく増減しないように、基準財政需要額の算定の見直しも併せて行われましたので、留保財源率の見直しが山形県にとって有利だったか不利だったかといったところは判然としないところがございます。また、これは原理的なところでございますけれども、年度によって、そのときの税収が好調のときは留保財源は高いほうが有利である一方で、不況のときは留保財源が低いほうが有利になるということで、本県にとって望ましい留保財源率というものは一義的には決定できないものと考えています。 なお、地方交付税制度の中で、地方税収の一定割合を普通交付税の算定に用いないとする留保財源の制度趣旨は幾つかありますけれども、その一つとして、先ほど申し上げたように、地方団体の自助努力によって地方税収が増えた場合、その地方団体で自由に使える一般財源が増えるようにするといった制度趣旨もございます。これを踏まえますと、県としては、地方交付税について、全国総額の安定的な確保及び適切な配分といったことは政府に引き続き働きかけていく一方で、より中長期的な本県の発展を考えますと、留保財源率の水準や交付税総額の毎年の規模がいかなるものであれ、県としてしっかりと自主財源を確保していくということが最も重要なことではないかと考えています。 今後とも、スタートアップも含めた産業振興、また農林水産業の振興等による県内経済の成長、それを通じた県民所得の向上と、それを通じてまた県税収入が上がるといった好循環を生み出して、本県の未来に投資することができる、言わば原資を一円でも多く稼ぎながら、持続可能な財政運営を図ってまいりたいと思っています。 四問目でございます。基準財政需要額に対し、森林に関する算定項目の追加という論点でございます。 普通交付税の基準財政需要額は、各地方団体の財政需要を合理的に測定することを目的として、自然的・地理的・社会的諸条件に対応する妥当な水準で計算されています。 議員から御提案のありました脱炭素推進や温暖化防止の推進に係る項目については、日本全体でパリ協定の枠組みの下における温室効果ガスの排出削減目標等を図る必要がある中で、森林整備等に係る経費が見込まれるという観点から、基準財政需要額の趣旨に合致するものと考えています。 ただ、しかしながら、本県の民有林は全国でいうと二十四番目でございますので、この算定単位に森林面積を使うアドバンテージというのはなかなか見いだしにくいものがあると考えております。国有林を加えますと本県の森林は全国八位となります。しかしながら、基準財政需要ということからいいますと、国有林は林野庁が管理しているものですから、地方団体の需要には当たらないということで、交付税算定の対象に使うことは難しいものではないかと考えています。 ただし、やまがた森林ノミクスを推進していく立場から、森林が多いという本県の特徴を生かして、交付税に限らず、外部資金を獲得していくことは極めて重要と考えています。 例えば、他県では、企業版ふるさと納税を活用した例として、本州最大の湿原を持つ尾瀬がある群馬県では、同地区のトイレ整備や県民を対象とした環境保全に関する講座開催のプロジェクトに対して、平成二十九年度から令和元年度にかけて約一億二千万円の寄附を集めていたりするところでございます。 県としては、近年、社会的課題の解決への取組が企業価値を高める中で、森林を活用して、ふるさと納税などを活用しながら、本県の外部資金獲得等も含めしっかりと取り組んでまいりたいと、このように考えております。 以上でございます。 ○議長(坂本貴美雄議員) 安孫子環境エネルギー部長。 ◎環境エネルギー部長(安孫子義浩君) 私には二問御質問をいただきましたので順次お答え申し上げたいと思います。 まず、財源の水平調整に向けたカーボン・クレジット市場への参加についてでございます。 J-クレジットにつきましては、再生可能エネルギーの利用による二酸化炭素の排出削減量や適切な森林管理による二酸化炭素吸収量等の環境価値をクレジットとして政府が認証する制度でありまして、認証されたクレジットは、相対取引や入札により売買が可能となっております。本県では、平成二十八年度から、県民や事業者が設置しました太陽光発電設備等による二酸化炭素の排出削減量を集約しましてクレジットとして販売しておりまして、本県にゆかりのある企業を中心に購入をいただいているところであります。 販売につきましては相対取引により行っておりまして、数多くの企業から支援いただくため購入数量の上限を設けたり、転売目的の企業を除外するなどの条件をつけまして公募して、価格競争を行って販売収入の確保を図っておるところであります。今年度は、認証量をCO2換算で昨年度から千九トン増やしまして、四千五十五トンのクレジットを販売することとしておりまして、十一月二十八日から購入者の募集を開始しております。 これまでの収益につきましては、累計約二千三百万円になっておりまして、若者向けの環境SDGsワークショップの開催支援やカーボンニュートラルにつながる活動に取り組む高校生・大学生などへの活動費補助など、二〇五〇年の山形県を担う世代を巻き込んだ県の環境保全事業に活用しております。 購入された企業では、本県の環境保全の取組を応援している企業であるということを自らで宣言したり、事業活動の電力を再エネ由来電力で全て賄うRE一〇〇の電力調達量の報告などに活用しております。また、県としましても、購入企業名をホームページで紹介し、本県を応援している企業としてPRしているところであります。 こうした中、政府は、企業が国際的に通用する炭素削減価値を持つクレジットを国内で調達できる市場の創設を目的に、カーボン・クレジット市場の実証事業としまして、東京証券取引所においてJ-クレジットを対象とした試行取引を今年九月から開始いたしました。 このカーボン・クレジット市場には、民間企業のほか地方公共団体も参加することが可能とされておるわけですけれども、全国的に取引相手を増やせるものと期待はされております。一方で、本県のJ-クレジット販売に対しましては、現在も多くの企業から購入の申込みをいただいていることや、市場では相対取引のような独自の条件を自由に付することは難しいということもありまして、市場で取引するメリットは、現時点ではまだ少し低いものと認識しておりますけれども、県としましては、政府の実証事業の動向を注視するとともに、県のJ-クレジットの取引量が大幅に増加する場合につきましては、市場活用も有効な手段となりますので、効果的な市場の活用について勉強してまいりたいと考えております。 続きまして二問目でございます。水素ステーションの設置普及についてお答えいたします。 水素は、利用時に二酸化炭素を排出しないエネルギーであり、発電分野をはじめ運輸部門や産業部門、家庭部門等で幅広い利用が期待されるカーボンニュートラルの実現に向けたキーテクノロジーであることから、水素の利活用につきましては、本県における温室効果ガス排出量の低減、それから水素関連産業の振興につながるものと考えております。 そのため、令和五年度の山形県エネルギー戦略後期エネルギー政策推進プログラムの見直しにおきまして、水素の製造、貯蔵、運搬、利活用等本県における水素の位置づけについて議論して、水素社会の実現に向けた戦略を策定したいと考えております。 この水素社会実現に向けましては、水素に関する理解促進と利活用の機運醸成を図る必要があると考えており、再エネ電力の貯蔵や合成燃料の製造といった水素の新たな可能性をはじめ、家庭や事業所における燃料電池いわゆるエネファームとか、燃料電池自動車いわゆるFCV等、水素の利活用について県民や事業者に広く普及啓発するセミナーやシンポジウムを継続して開催していきたいと考えております。 こうした中で、社会実装が全国的に進みつつある運輸部門から県内への水素エネルギーを導入するため、水素ステーション導入に関する勉強会の開催をはじめ、事業者が行う水素ステーションの導入可能性調査や、その整備費に対する補助について検討しているところであります。 また、産業労働部と連携しながら、水素の利活用及び関連産業への参入に向けた業界動向・技術情報の収集と県内企業への情報提供をはじめ、水素関連設備の技術勉強会や燃料電池自動車の基幹部品構造セミナーなどの開催を検討しております。 さらに、県土整備部と連携しながら、酒田港におけるカーボンニュートラルポートの形成を目指して、水素の輸送、製造、貯蔵、利活用などについて議論していきたいと考えております。 県としましては、県内における水素利活用の機運を醸成するとともに、水素ステーションをはじめとした水素エネルギーの導入を促進するなど、水素社会の実現に向けた取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 西澤観光文化スポーツ部長。 ◎観光文化スポーツ部長(西澤恵子君) 私から観光振興への取組についてお答え申し上げます。 旅行ニーズの変化に伴い個人旅行化が進んでおり、こうした流れはポストコロナに向けてさらに進展するものと捉えております。 このような中で、旅行会社を利用した訪日団体旅行につきましては、欧米等の富裕層が好むオーダーメード型や、台湾・ASEAN等からのリピーター層に一定の需要があることから、引き続き取り組んでいく必要があると考えておりますが、一方で、今後は、増加が見込まれる個人旅行に対応したプロモーションや、上質なおもてなしのための人材育成など受入れ態勢の整備が一層重要になってくるものと考えております。 多様化する個人旅行者に向けては、それぞれのニーズを把握し、場面に応じて必要な情報が届く仕組みをつくっていくことが重要であり、このため、デジタルマーケティングによる分析の下に、より関心の高い特集記事や動画の配信など、ターゲットに合わせたプロモーションに取り組んでいるところです。 本県への訪問が最も多い台湾を例に挙げますと、現地での利用者が多いフェイスブックやLINEにおいてフォロワーの属性や嗜好を分析し、雪や温泉、ウオーキング、グランピング、フルーツ狩りなど、現地に訴求力のあるコンテンツで本県の魅力を発信するほか、現地旅行博への出展やインフルエンサーの活用など、様々なチャネルを利用して情報発信を行っております。加えて、台湾では旅行の予約をオンラインで行う割合が増えておりますので、本県のプロモーションサイトや広告に関心を持った方がストレスなく旅行商品販売サイトに移動できるようなシステムとして、利便性の向上を図っております。 また、旅行者に本県の持つ魅力や価値への理解を深めてもらい、満足度の向上やリピーター化につなげていくためには、山形ならではの文化やストーリーを伝えることのできる観光人材の育成が重要であることから、今年度は、先駆的な取組を行っている専門家を招請し、地域事業者等とともに観光コンテンツづくりなど実践的な取組を通した人材育成を進めております。さらに、DMO等においても、地域の魅力を伝えることができる英語ガイドの育成や外国人観光客と住民との交流の取組が始まっているところです。 県としましては、こうした地域の関係団体等とも連携して、旅行者のニーズや動向を的確に把握しながら、全国の先進事例も参考に、一層進む個人旅行者の誘客拡大にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 地主農林水産部長。 ◎農林水産部長(地主徹君) やまがた森林ノミクス加速化ビジョンの深化についてお答えいたします。 このビジョンは、昨今の社会情勢の変化に対応した本県の森林・林業・木材産業の将来の目指すべき姿と方向性を示す計画として令和三年三月に策定したものです。 初めに、令和三年十月に改正法が施行された通称「都市(まち)の木造化推進法」を受けての本ビジョンの見直し・改定についてですが、本ビジョンでは、県産木材の利用促進に向け、低層の公共施設について原則木造化し、木造化が困難な施設は内装の木質化を図ることとしており、民間施設についてもこれに準じた取組を進めていくこととしております。 こうした公共施設に加え、民間施設の木造化・木質化を促進していくという方向性は、法律改正の趣旨と合致していることから、県としましては、引き続き現行ビジョンに基づき各種施策に取り組んでまいりたいと考えております。 次に、今回の法律改正で創設された建築物木材利用促進協定制度についてですが、本協定は、建築主となる事業者等が、自らの建築物における木材利用の構想を実現するため、政府や地方公共団体に申し入れることで連携して木材利用の促進に取り組むことを目的としています。 協定を締結した事業者等のメリットとしては、政府や地方公共団体のホームページでの公表やメディアに取り上げられること等により、社会的認知度に加え、環境意識の高い事業者としての社会的評価が向上するとともに、政府や地方公共団体による財政的支援を受けられる可能性が高まることなどが挙げられます。この協定は、政府において八件、全国の地方公共団体で四十件締結されており、その内容は、「木造・木質化に関わる技術開発の推進」「木造建築物の設計・施工に係る人材育成」などとなっています。 県内では、今年九月に県建設業協会米沢支部米沢部会、米沢木材製材組合等六団体が米沢市と協定を締結し、協働・連携して民間施設の建築主に対し地元産木材を利用するよう働きかけを行うこととしたと伺っております。 現在、県におきましては、多くの事業者が建築物木材利用促進協定の相談や申入れを行いやすいように、県ホームページにおいて手続方法を公表し、協定締結の取組を促進しております。また、公共・民間施設の木造化・木質化の推進に向けて、中・大規模施設の建築物の木造設計ができる人材の育成を進めることが重要であるため、建築設計関係団体や木材関係団体と県との間で早期の協定締結に向けた協議を進めているところです。 県としましては、県産木材の利用促進を図るとともに、都市(まち)の木造化推進法に基づく新たな協定制度を積極的に活用しながら、林業と木材産業の有機的な連関を強める取組を進め、やまがた森林ノミクスを発展、加速させてまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 水素輸入港についてお答え申し上げます。 水素エネルギーにつきましては、令和三年十月に閣議決定された第六次エネルギー基本計画において、水素の年間供給量を現在の約二百万トンから二〇五〇年に二千万トンに増やすとともに、コストについては、長期的に化石燃料と同程度の水準まで低減させることを目指すとされております。水素を大量、安定、安価に供給するためには、海外からの輸入や国内の輸送網をどう構築するかが重要であると認識しております。 水素の海上輸送網につきましては、政府の総合海洋政策本部において、次期海洋基本計画の改定に向け検討がなされております。本年七月に、外部の有識者から成る参与会議において、重点的に取り組むべき施策の一つとして「水素・燃料アンモニア等の『燃料・資源の海上輸送網の構築』に向けた技術開発、大規模実証等を図っていくべき」との提言がなされたところでございます。今後は、政府においてこの提言を参考としながら、様々な検討が進められていくものと考えております。 一方、酒田港の取組につきましては、現在、酒田港におけるカーボンニュートラルポートの形成を目指し、カーボンニュートラルポート形成計画の策定に向けた取組を進めております。カーボンニュートラルポート形成計画は、港湾地域の面的・効率的な脱炭素に向けた取組と、水素や燃料アンモニア等の需要量を踏まえた輸送や製造、貯蔵、利用に必要な港湾施設の整備について計画するものでございます。 計画策定に向け、本年十月七日には、学識経験者、港湾関連事業者、関係企業、国土交通省、関係市町及び県の関係部局から成る協議会を組織いたしました。今後、温室効果ガスの削減目標と削減計画を設定するためのCO2排出量の推計や、水素、燃料アンモニア等の供給目標、供給計画を設定するための需要量の推計等に関する基礎調査を行い、協議会で検討を進めてまいります。 県としましては、政府の動向も注視しながら、環境エネルギー部をはじめとする関係部局や地元市町と連携し、酒田港のカーボンニュートラルポート形成計画の策定に向けた議論の中で、水素、燃料アンモニア等の輸送や製造、貯蔵、利用といった酒田港に求められる役割を整理・検討してまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 高橋教育長。 ◎教育長(高橋広樹君) 私にはスポーツ振興の今後について御質問をいただきました。 本県スポーツについて、中長期的な視点に立って振興を図るためには、競技力の向上を図ることや、より多くの県民がスポーツに親しみ取り組む環境づくりを進めることなど、様々なポイントがあるものと考えております。 競技力について継続的に向上を図っていくためには、指導者の育成・確保が重要なことから、優秀な指導者による各種強化事業に若手指導者を積極的に帯同させ、そのノウハウをしっかりと継承させるとともに、リモートの活用等により、国内有数の指導者から優れた指導技術を学ぶ機会について一層の充実を図ってまいります。 また、平昌オリンピック・スピードスケート競技において五位入賞を果たした山形中央高校出身のウイリアムソン師円選手が県内企業に就職し、本県で指導者としての道を歩むことになりました。このように本県ゆかりのトップアスリートが県内で指導者として活躍できるよう、引き続き、山形県企業スポーツ振興協議会等を通じて企業と連携を図りながら、指導者の確保に努めてまいります。 さらに、選手の指導につきましては、リモートを活用し、国内外の優れた指導者からアドバイス等を受ける機会を一層拡充するとともに、ICTを活用した戦力の分析や戦術の研究に取り組み、その結果を踏まえ、県外等への遠征に際しましては、レベルアップや弱点克服につながる対戦相手との合同練習や試合を重点的に実施するなど、様々な工夫を凝らしながら、効率的・効果的な競技力の向上に努めてまいります。 次に、より多くの県民がスポーツに親しみ取り組む環境づくりを進める上で、部活動の地域移行は大きな役割を果たすものと考えております。 部活動の地域移行は、少子化が進む中で、生徒にとって望ましいスポーツ環境の構築と教員の働き方改革の推進を目的としたものですが、単に部活動を地域に移行するだけでなく、地域の実情に応じて地域スポーツの在り方を見直し、地域住民が将来にわたり持続的にスポーツに親しめる環境づくりを目指した取組であると捉えております。 部活動の地域移行により、教員に代わる指導者等が必要となり、地域移行の受皿として地域スポーツクラブの充実等も図られることが期待されますので、部活動の地域移行が本県スポーツの底上げにつながるよう、市町村や関係団体と連携しながらしっかりと取り組んでまいります。 また、若い才能の発掘・育成につきましては、現在取り組んでおりますYAMAGATAドリームキッズ事業において、小学三・四年生から有望な児童生徒を選抜し、五年をかけて競技適性を見極め、競技団体と連携しながら効果的な強化策を実施することにより、これまで年代別日本代表十四名を輩出する等成果を上げております。 今後につきましても、競技ごとに強化拠点を指定し、中高生を一堂に集め重点的かつ一貫性のある指導を行うなど、地域スポーツクラブ等とも連携を深めながら、ジュニア期からの競技力向上を図ってまいります。 国体を本県で開催することは、国内トップアスリートの活躍に間近に触れることで、感動や驚きとともに県民のスポーツへの関心を高め、さらなる選手の育成や競技力の向上、指導者の養成につながり、本県スポーツの振興に大きく寄与するものと考えます。 国体は、令和十七年から三巡目となりますが、現在、日本スポーツ協会において、複数都道府県による広域開催や大会規模の見直し等について検討がなされていると聞いております。本県への誘致等につきましては、国体の開催がスポーツのみならず本県の活性化に大きく寄与することを念頭に置き、日本スポーツ協会の検討状況も注視しながら、しかるべく検討してまいりたいというふうに考えております。 今年の国体においては、出場した本県選手は、郷土の誇りを胸に最後まで全力を尽くしてくれましたが、目標には遠い結果となってしまいました。現在、各競技団体とのヒアリングを実施しており、今後、課題等の分析を行い、改善策等をしっかりと検討してまいります。 スポーツにおいて、勝利や記録を目指しひたむきに努力する姿は、人々に感動と勇気をもたらすとともに、諦めない心、挑戦する心など、子供たちが人生を力強く歩んでいく上で必要な力を与えてくれます。県教育委員会といたしましては、ただいま申し上げました様々な取組を通しまして「力強いスポーツ山形」の実現を図ってまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、休憩いたします。 午前十一時十五分再開いたします。     午前十一時三分 休憩     午前十一時十五分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 二番梅津庸成議員。 ◆2番(梅津庸成議員) おはようございます。県政クラブの梅津庸成です。本日は私にとって二度目の一般質問となります。県民の安心安全に関する事項等県政の在り方、令和五年度予算案策定に向けた各種施策の在り方について質問させていただきます。よろしくお願いいたします。 新型コロナウイルス感染症は、国内蔓延発生から二年半が経過した今も、いまだ終息を見せていません。感染者が十一月二十二日、過去最多の二千二百七人となり、十一月三十日に吉村知事は第八波に突入したとの認識を示しました。九月十五日に発表方法を変えて以来、統計上は全国で若干の減少をした感がありますが、山形県は十万人当たりの感染者数が全国で四位という高い位置にあり、議会でもお話を伺った森兼啓太山形大学医学部附属病院教授によれば、この理由として、陽性者健康フォローアップセンターにしっかり登録する真面目な県民性や、寒くなったことによる部屋の換気の不十分さの二つを理由として挙げています。 感染の勢いは止まりませんが、症状については軽症や無症状者が多いとの報告がなされています。現在の山形県における感染者の累計は、十一月二十八日に十六万人を超え、死者は二百五十人を超えています。 感染者、感染経験者が増える中で心配されているのが、コロナの罹患後症状、いわゆる後遺症の問題であります。中には、感染三か月後に後遺症が現れたという方もいると報道されています。こうした後遺症への対応については、県は早期から着目し、六月に感染者の罹患後の症状調査が行われ、結果が発表されました。倦怠感、せき、呼吸困難などの症状があること、四十代が多いが、性別には大きな偏りはなく、罹患時の症状の軽重にかかわらず罹患後の症状が発生していること、罹患後症状を有する人のうち約半数がワクチンを打っていないことなどが公表されています。 その後、さらに罹患者が増え、六月三十日の罹患者累計が三万五百十九人でしたから、現在は五倍以上の罹患者がいるという状況になっています。こうしたことを踏まえ、県として、十一月七日から二十四日の間、オミクロン株に係る後遺症調査として再調査を行ったと伺っております。その結果については、今後の県としての対応をどうするのかを検討する上で非常に重要なものと考えます。 この調査については、年内をめどに取りまとめるということでありますが、後遺症に悩んでいる方々は、できるだけ早くその結果を知りたいところであり、現時点でどのような進捗状況となっているのか、また、県としてこれまでも後遺症対応のコールセンターの設置や対応するクリニック等を指定し後遺症への対応を行っていると認識していますが、このたびの調査の結果を今後の施策にどう反映していくことを考えているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症への対策として、ワクチン接種の重要性は論をまちません。重症化を低減する効果があることは知られていますが、その結果として、医療崩壊を回避し、社会生活の維持を図ることができています。クラスターの発生により予定手術等が一部で延期されており、医療機関の機能確保は、社会生活を維持する上で極めて重要です。 一方で、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種に際して、副反応の内容については、接種者にあらかじめ示され、実際の接種により多くの方が経験しているところでありますが、全国ではアナフィラキシーショックなど重篤な副反応がある方がおられます。 国においては、厚生科学審議会の副反応検討部会と薬事・食品衛生審議会の安全対策調査会の合同会議が十一月十一日に開催され、三回目接種については、ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチン接種後の事例として、それぞれ千九百六十二件、九百三十四件の副反応疑い報告、医療機関報告があり、頻度はそれぞれ〇・〇〇四〇%、〇・〇〇二八%。三回目接種は一回目、二回目接種後の頻度より低い傾向にあるとされています。 一方、先日、愛知県の接種会場で五分後にアナフィラキシーが発生し、そのまま搬送され死亡した例が報道されるなど、発生する可能性は極めて少ないことは分かっていても、こうした報道によりワクチン接種を控えることにつながるのではないかと危惧します。 そうした状況を少なくするためには、適切な情報公開が必要であり、また、発生した場合の万全の措置を取ることが重要と考えますが、山形県における新型コロナウイルスワクチン接種によりアナフィラキシー等重篤な副反応及び後遺症を訴えている方の数、そして症例について県としてどう捉えているのか、また、発生した場合にどのような医療的対応をする体制となっているのか、健康福祉部長にお伺いいたします。 次に、大人のひきこもりについてお伺いいたします。 本件については、二〇一九年六月定例会において、原田和広議員から、川崎市における二十人殺傷事件や元農林水産事務次官の長男刺殺事件を引き合いに質問がなされておりました。その後、新型コロナウイルス感染症の蔓延による外出制限などを要因とする大きな社会情勢の変化があり、こうした変化が中高年世代の働く世代にも影響を及ぼしてきているのではないかと懸念する声があります。 ひきこもりの状況については、内閣府の調査によれば、二〇一八年度の満四十歳から六十四歳までを対象とする実態調査で、出現率は一・四五%で、推計六十一万三千人がひきこもりとして存在するとのことであります。二〇一五年度の調査では、対象は十五歳から三十九歳までとなっておりますが、五十四万一千人と推計されておりました。 山形県においては、中高年に限った調査ではなく、困難を有する若者等に関する調査として、二〇一三年、二〇一八年にひきこもりに関する実態調査がなされており、その中で中高年世代のひきこもりについても明らかになってまいりました。二〇一八年の山形県の調査によれば、ひきこもり全体の総数が千四百二十九人で、四十代以上の総数が七百五十八人、四十代が二六・三%、五十代が一六・七%、六十代が一〇%と、四十代以上のひきこもりが五三%と半数を超えることが分かってきています。また、対象者は市部より町村部の割合が高くなってきております。 ひきこもりの状況は、新型コロナウイルス感染症での外出制限などを踏まえると、実数としても、全体に占める割合としても、ますます増加してきていると考えられますが、本県における調査について、令和五年度当初予算要求概要において、しあわせ子育て応援部の要求として、困難を有する若者等の実態に関する全県調査の要求が出ておりますが、中高年のひきこもりの実態をしっかりと捉える内容の調査を行うべきと考えます。 まず、この点についての県としてのお考えを健康福祉部長にお伺いいたします。 その上で、大人のひきこもりへの対応についてお伺いいたします。 ひきこもりの親の会の皆様とお話をする機会がありました。それぞれの御家族からお話をお伺いしましたが、原因は分からず、各人の態様も十人十色で一様ではありませんでした。一方で、成人し自立したはずの子供がどうしてそうなってしまったのか、自分たち親のせいなのかと悩み、苦しむ。そして、どうやったらその状況から子供を抜け出させられるのか、わらをもつかむ思いでいる姿を拝見しました。県の相談窓口があり、そこからつながれた部署に相談しても、大人のひきこもりゆえに病院での診察へも連れていくことができず、結局は徒労に終わる。そうした状況が生じています。こうした状況についてお話を伺い、全国各地における事例の蓄積を行った上で親や子供たちへのオーダーメード型のアドバイスを行い、的確に対応することが必要であること、また、親自身に対するメンタルケアを行うなど、一人一人に寄り添いながら対応する必要性を感じ取ってきたところです。 現状では、県の事業として各所へつなぐ相談窓口があり、相談窓口からつながれた保健所等において個別の対応をしていただいていると承知していますが、必ずしも効果が現れているとは言えません。 全国各地の事例の蓄積と親子へのオーダーメード型のアドバイスを行うことのできる専任の保健師の増強、大人のひきこもりに特化したセミナーの開催など、より具体的な内容を持つ実効的な事業を行うべきと考えますが、県としての姿勢と具体的対応について健康福祉部長の御見解をお伺いします。 先般、親の会に担当課長が足を運ばれたと聞きました。苦しい状況にある親の皆様は、先ほどもお話ししたとおり、様々な行政へのアプローチが徒労に終わることがあることから、自分たちは行政に置き去りにされていると感ずることがあるようです。休みの日ではありましたが、担当する所管事項は本件以外にも多数抱える中で、担当課長として一人足を運び、ややもすると激しい反応にさらされるかもしれない中に飛び込んで話をじかに聞く姿勢は、まさに現場の声を大切にし、寄り添う姿であります。親の皆様に評価されているところでありますが、次は、その声を踏まえて実態調査をさらに深め、行政の措置として必要なものを実現する、そのことが県として求められているのではないかと思います。このことを申し添えたいと思います。 やまがた新電力の経営状況と対応についてお伺いします。 物価高騰が止まりません。ウクライナへのロシアの侵攻や為替などによるものでありますが、飲食業従事者によれば、昨年の二倍の電気代になっているとの声が聞こえてまいります。 電気代の高騰に関連して、新電力の事業の停止が問題になっています。これまで低い価格で電力を提供していた新電力の事業停止により、他の電力会社との契約を行うことが必要になり、従前以上に高い値段で電力を購入せねばならなくなった事業者が多数います。 この新電力については、山形県が三分の一を出資する株式会社やまがた新電力があります。やまがた新電力は、事業の停止には至っておりませんが、新規契約は停止しているとのことであります。同社の決算における純損失は、令和二年度が約二億二千三百万円、令和三年度は一億六百万円と、二年連続の赤字を計上したことが常任委員会でも議論されております。 民間の新電力が軒並み契約を停止し、事業から撤退している中で、やまがた新電力が赤字を続けていることから、売先から「この先事業を継続できるのか」との声が聞こえるばかりでなく、県民からも、「やまがた新電力が負債を累積し事業を停止せねばならなくなったら県の予算を投入することになるのではないか」との声が聞こえてきます。 このやまがた新電力の売先について見ますと、令和四年十月末現在で、県有施設百十四、国・市町村施設が八十二、民間施設が八十二で、四割が県有施設、国・市町村を含めた公的な機関で七割となっています。これまでの東北電力と比べ、県有施設が電力を安く買っていることも考慮すれば、県として利益を享受しているとも言えますが、経済産業省が電力需給対策として十二月から三月三十一日まで国民や事業者等に対し七年ぶりに節電要請をしていることを考えると、電力供給が改善し価格が低下する見込みは少なく、赤字がさらに膨らむ可能性が否定できません。 既にやまがた新電力として八月に値上げをしたとの話を聞いておりますが、出資する県として、今後、この赤字の解消に向けどのような対応を考えておられるのか、そして、顧客は安定した契約を求めていますが、事業の継続についてどう考えておられるのか、環境エネルギー部長の答弁を求めます。 木造住宅耐震改修補助事業に関連しお伺いいたします。 年が明けますと、現在の我が国の様々な震災対策の基本となる元となった阪神・淡路大震災の日がやってまいります。阪神・淡路大震災を契機として、災害時要援護者避難支援、避難所の整備、自主防災組織の結成、防災士制度の新設等、多くの現在に至る対策が生み出されてきました。 阪神・淡路大震災の教訓の一つが建物の震災対策でありました。建物の密集する都市型の地震で、早朝発生のために逃げることができず、建物の下敷きになって亡くなられた方々が極めて多い地震で、死者の約九割が家屋、家具類等の倒壊による圧迫死であったとの統計があります。被害に遭った建物の多くが一九八一年以前に建設されたものであり、この年を境として耐震性に大きな差があることが指摘されています。 現在も、この教訓から、住宅の耐震化のための補助事業が推進されています。耐震診断補助事業について、例えば山形市の場合、百平米以上の住宅であれば自己負担一万五千円で、通常かかるであろう十五万円程度の診断を実施してもらえることになっています。また、耐震改修については、耐震改修費用が百八十万円以上であれば上限百万円まで補助が受けられる制度です。 大変魅力的な補助ではありますが、耐震改修については、家全体の耐震化が前提であり、一部分の耐震化については対象とならず、耐震シェルターや防災ベッドの設置や住宅リフォーム事業に促されるとのことです。住宅リフォームでも、屋根の軽量化や筋交いの設置などにとどまるため支援金額が十分でなく、耐震診断から耐震改修事業には至らない例が多数のようです。実際に、昨年度耐震診断五十六件に対して十五件しか耐震改修の実績がありません。 なぜこの耐震診断と改修事業着手への差があるのか。利用しようとしている方が耐震改修に進まない、ちゅうちょする理由を少しでも除去して、家全体でなく、一室でも耐震改修が行われることで助かる命があるのであれば、それが可能となるような柔軟な制度に改めていくことが必要ではないですか。 山形県は住宅政策が進んでいると言われています。やまがた健康住宅の取組などの独自政策は高く評価されており、また、利用したいという方が多数です。こうしたこれまでの山形県の先進的な住宅政策をさらに進め、耐震改修事業についても県独自の判断で対応する姿勢を貫いていただきたいと思いますが、耐震診断から耐震改修に進まない理由の分析を含め、隙間を埋める耐震改修事業の新設について、県土整備部長の御答弁をお願いいたします。 県の令和五年度予算について、先般要求概要が発表されました。本年三月の令和四年度県予算案の審議に当たり、撤回と再提出という過去にない事例があったことを思い起こしております。その発端は、サクランボをはじめとする県産フルーツの情報発信の拠点となる施設の整備でありました。 当時の議論を振り返りますと、サクランボを筆頭に山形県のフルーツに関する情報発信については重要であるが、それを行う施設を県の予算二十五億円をかけて建設することは適切なのかという議論であったと思います。 当該部分の予算は撤回されましたが、県として情報発信の必要性を一貫して主張し、六月定例会においては、やまがた紅王デビューや山形県におけるサクランボ栽培百五十周年という目玉となるチャンスが到来する中で、情報発信の強化は論をまたないという趣旨の答弁がなされています。 その後も、九月定例会においてPR協議会の設置やイベント準備の予算が計上されるとともに、実際に山形に訪れてフルーツを楽しんだり学んだりしてもらえるよう、既存施設の有効活用や民間事業者が様々な事業を展開できるような取組を検討する旨の説明がなされました。 これらの議論を踏まえながら、定例会冒頭に県より示された令和五年度当初予算の要求概要を見ますと、九千二百万円の予算を要求し、やまがた紅王の本格デビューに向けたプロモーションやPR協議会の運営経費を考えておられるようですが、拠点整備については記述がありません。 情報発信のための取組の検討状況と考え方について農林水産部長の御見解を伺います。 なお、二〇二五年は、サクランボ百五十周年であると同時に、大阪・関西万博の年でもあります。大阪・関西万博の事務局から説明を聞く機会がございましたが、民間と連携する情報発信の方針を定めるということは、万博からの観光客が山形に回遊してきて山形のフルーツに接するよう導く、そして山形県に回遊してくる全世界の皆様に山形県を売り込む戦略として極めて重要と考えます。そのためにも、来年度予算における対応についてもしっかり考えていただければと思います。 今年も冬がやってまいりました。先日、蔵王温泉に寄る機会がありましたが、ゲレンデには雪が積もり、十日にはスキー場開きとなります。スキー場、温泉場も新型コロナの影響は大きく、スキーシーズンピーク二月の温泉宿泊者は、二〇一八年で三万六千九百七十三人であったのに対し、二〇二一年は二万一千八百四十九人と大幅な低下となっていると蔵王温泉観光協会より聞いています。 政府や県、市が行う宿泊支援事業等により、少しずつですが回復してきており、新型コロナ以前のにぎわいを見せる状況になればと思います。蔵王は県内随一の観光地であり、蔵王スキー場は世界的にも有名であり、県としてその価値を高めていくことが必要です。 一方で、人口減少により、スキーやスケート等に親しむ方々が減少しているということもあり、競技としてのウインタースポーツにも影響を及ぼしているようです。令和二年の冬季国体は天皇杯で四位であったのに対し、令和四年は十三位と振るわず、国民体育大会全体の県の順位に影響したとの報告を聞いております。特にスケートの成績がその要因と聞いております。本県で開催される国民スポーツ大会冬季大会を令和六年に控えて、危惧する声が聞こえてきます。強化費について、一年目に八百五十万円、本年度は二千万円。来年度当初予算で四千万円の予算を要求し選手の強化を行うとのことでありますが、選手の育成は時間がかかるものであり、一朝一夕にできるものではないと理解しております。 既に開催が決まっている令和六年の国民スポーツ大会冬季大会には、予算を十分に活用してしっかりと対応していただくことが必要ではありますが、むしろ中長期的な観点から選手の養成やウインタースポーツの在り方を考えていかなければならないのではないかと思います。 選手の育成は、競技者、指導者、施設、訓練、支援者といった要素がきちんとそろうことで進むものと理解していますが、まず施設についてお伺いします。 十月に第二回屋内スケート施設あり方検討会議が開催され、議論が行われているとの報告を伺いました。来年には一定の方向性が出るとのことでありますが、検討会議の現在の検討状況、そして今後の報告の予定と県としてのその後の対応予定について、みらい企画創造部長にお伺いいたします。 昨日の代表質問で、同僚議員より、一般財団法人日本総合研究所による「全四十七都道府県幸福度ランキング二〇二二年版」で山形県は七位と高い位置にあるとの話がありました。大変喜ばしいことであります。本件に関連して、その他の調査についても知事より答弁がありました。 他方、知事の答弁にはありませんでしたが、ダイヤモンド・オンラインの「地元愛が強い都道府県ランキング」では、山形県は二〇一九年に三十一位でありましたが、二〇二〇年には四十位に後退しているといった統計もあります。 幸福度ランキングが山形県が十位であった二〇一八年の日本総合研究所の評価・分析が公表されており、これを見ますと、健康や文化の面で高い指標を示す一方で、仕事、生活、教育が低位を占めるという特徴を有していると分析し、教育分野について、「将来世代の人材育成を重点的に行うことが必要」とし、教育分野の改善が提言されています。 山形県は、教育の一環で郷土愛を育むための施策を行っています。地元愛、郷土愛は、やはり山形県の風土を生かした人づくりの中でこそ育まれるべきものだと思います。 私ごとになりますが、小・中学校でのスケート、スキーの授業が原体験となり、東京に出てからもウインタースポーツを仲間と楽しむ契機になった、そして、ふるさと山形を感じ、思い起こし、誇りに思う契機になったと思います。 県立高校でのウインタースポーツに関する状況はどうかと尋ねましたところ、県立高校でのスキーの授業は、令和四年度は二十一校の予定と聞いていますが、スケートに至っては、普通科で行う予定があるのは山形南高等学校のみとのこと。優秀な選手を輩出している山形中央高校は、体育科では行われているが普通科ではスケートの授業が行われていないと聞き、驚きました。先ほど申し上げた競技者の中長期的な観点からの育成という点に併せて、郷土愛を育む措置としても、このウインタースポーツを重視するべきではないかと思います。 現在強化費として別枠で計上されている予算は一時的なものであり、国民スポーツ大会が終われば、その強化費はその他の強化費と合わせたものに戻ることになるでしょう。競技人材の裾野を広げ、また同時に郷土愛を育んでいくためにも、ウインタースポーツに関する選手育成費、ウインタースポーツに係る授業の予算を県予算において別枠として扱うこと、そして高等学校におけるウインタースポーツの授業の増加及び現在自己負担で行われている経費を県予算で負担することを検討すべきではないですか。 教育長の御答弁をお願いします。 次に、弾道ミサイルの脅威から県民を守る避難施設についてお伺いします。 北朝鮮は、度重なる弾道ミサイル実験を行い、我が国に対する脅威となっています。まずもって、国連安保理諸決議に反する北朝鮮の行為に最大限の怒りをもって抗議し、中止を求めます。 この事態に関連して、山形県では、二〇一七年に酒田市西荒瀬地区で行われた訓練に引き続き、先月二十九日に寒河江市南部地区において避難訓練が行われました。先月三日、北朝鮮によるミサイル実験が行われ、県内に警戒警報が発令された際の市民の反応は、「一体どこに逃げるのか、地下施設はない」といったものが多数でありましたが、訓練は非常に重要なものであり、県の引き続きの訓練の取組を期待したいと思います。 避難所については、弾道ミサイル攻撃に際しての緊急一時避難施設を県として二百八十か所程度増やし、合計八百四十八か所としたとのことであります。どこが避難所なのか、周知が課題ではありますが、しっかりと整備していくことが重要と考えます。 もう一つの課題は、多くの県民が感じたように、この避難所の抗堪性を図っていくことだと思います。 今、政府は、国家安保戦略、防衛大綱、中期防の安保関連三文書の改定に着手しており、間もなく発表されると思いますが、県民を守るための避難所の強度を高めなければなりません。そのためには、避難所のコンクリート化や地下化が必要になります。この抗堪性のある避難所の設置、あるいは既存の避難所の強化について、県独自の対応もあり得ることではありますが、国防、民間防衛に関わる事項であり、国が責任を持って財政的支援をしながら取り組まなければならない事項であると思います。 安保関連三文書改定や予算などの今後の動きも見据え、県としても、知事会等を通じ、国に対して責任ある対応を求めていくべきと考えますが、今後の県の対応方針を防災くらし安心部長にお伺いします。 最後になりますが、八月三日の豪雨災害に際しての県の動きについて、特に自衛隊への災害派遣の要請と自衛隊の現場での対応が極めてスムーズに行われたことについて、その後の静岡県における災害時の自衛隊への要請が遅れた対応と比較され、大変高い評価を受けています。 災害派遣は、各市町村の枠を超えた広域対応が必要であることから、市町村長に自衛隊への派遣要請を行う権限を下ろしておらず、知事の権限として自衛隊法第八十三条第一項に規定されています。 県民の生命と財産を守る護民官としての役割を果たす県知事におかれては、様々な事態に対し、平時においては準備怠りなく、有事にあっては地域や国との連携でしっかり対応する姿勢を貫き通し、引き続き先頭に立って指揮していただきますことをお願い申し上げ、以上、私の一般質問とします。ありがとうございました。
    ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 岡本みらい企画創造部長。 ◎みらい企画創造部長(岡本泰輔君) 私からは屋内スケート施設についてお答えを申し上げます。 屋内スケート施設の整備につきましては、今年度、屋内スケート施設あり方検討会議を設置して、本県に必要とされる屋内スケート施設の規模や機能、また、厳しい財政状況の中での効果的・効率的な整備手法など、様々な課題について検討し、一定の方向性を取りまとめることとしております。 会議のメンバーは、スポーツ団体関係者をはじめ、まちづくりや官民連携の学識経験者、地域金融機関、子育てサークルの代表など多岐にわたっており、幅広い観点から検討を行っております。これまで、七月と十月に会議を開催し、スケート施設の建設や管理運営を行っている複数の事業者や県内の競技団体から様々なお話をお聞きしたところです。 事業者からは、夏季における利用者の減少対策や愛好者をいかに増やすかといった施設経営の現状、整備に際しての留意点などについて、競技団体からは、現在の活動状況や、子供の頃にスケートを含む様々なスポーツを経験することで体幹やバランス感覚等が鍛えられ運動能力の向上につながるといった効果などについて説明をいただいております。 今後につきましては、三回目の会議を十二月中に開催し、各委員の専門的立場からの御意見も頂戴しながら議論を深めてまいります。人口減少が進む中にあって、持続可能な施設をつくっていくためにも、これまでに関係者からお聞きした内容を踏まえて効果や課題を整理し、様々な角度から検討を重ね、年度内に報告書を取りまとめる予定としております。 また、来年度以降につきましては、今まさに検討会議において方向性を検討している最中でありますが、会議で出される検討結果に沿って、次の段階に向け、県としてしっかりと対応してまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 奥山防災くらし安心部長。 ◎防災くらし安心部長(奥山賢君) 私には弾道ミサイルの脅威から県民を守る避難施設についてということで御質問をいただきました。 我が国を取り巻く安全保障環境の厳しさが増す中、政府では、年内を目途に、外交や防衛などの安全保障政策の基本方針であります国家安全保障戦略、それから中長期的な視点で防衛力の規模を定める防衛計画の大綱、防衛力の整備、維持及び運用を具体的に定める中期防衛力整備計画のいわゆる安保関連三文書の改定を予定しております。 改定に向けましては、本年九月に公表されました「新たな国家安全保障戦略等の策定に関する有識者との意見交換(議論の要旨)」において、「現在行われている既存施設を避難施設として指定する動きを加速するべき」といった意見が出されておりますほか、本年十一月に岸田首相に提出されました国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議の報告書にも、「有事の際に国民の命を守る避難施設の整備も平時から進める必要がある」との指摘がなされているところでございます。 他方、新設や建て替えをする自衛隊施設を地域住民向けの地下シェルターとして活用できる設計とする方向というような報道もございます。議員御指摘の避難施設の抗堪性の強化をどのように図っていくのかということにつきましては、いまだ明確になっていないところでございます。 このため、県としましては、まずは政府における議論の動向を注視してまいりたいと考えているところでございます。 また、同時に、度重なる北朝鮮の弾道ミサイル発射を踏まえ、緊急一時避難施設の指定を促進しますとともに、市町村と連携し、ホームページや広報誌等により、身近にある避難施設やミサイル落下時に取るべき行動を県民の皆様へしっかりと周知してまいりたいと考えております。 さらに、政府に対しましては、避難施設であることを示す全国統一の表示の導入や、避難の長期化も見据えた備蓄の整備、避難施設の運営方法などについて検討の上明示するよう、全国知事会を通して引き続き要請してまいりたいと考えているところでございます。 ○議長(坂本貴美雄議員) 安孫子環境エネルギー部長。 ◎環境エネルギー部長(安孫子義浩君) 私には、やまがた新電力の経営状況と対応について御質問ありましたのでお答え申し上げたいと思います。 平成二十八年の電力小売自由化により設立されました小売電気事業者いわゆる新電力の状況につきましては、ロシアのウクライナ侵攻や円安による原油やLNG等の燃料価格の高騰、火力発電所停止などの供給力不足による電力需給逼迫により卸電力市場の取引価格が高騰したことなどを受けまして、経済産業省の発表によりますと、令和四年九月末現在、小売電気事業者七百三十二社のうち、事業の廃止・解散・休止に至ったものが九十八社となっております。 こうした中、株式会社やまがた新電力は、平成二十八年度の事業開始以来、県内の再エネ発電所から電気を調達し、県庁をはじめとする公共施設を中心に電気を供給しまして、エネルギーの地産地消を実現しております。令和元年度までは市場価格も低水準で安定していたことから、四期連続の黒字で推移いたしましたけれども、同社においても、市場価格高騰の影響を受け、令和二年度及び令和三年度に純損失を計上いたしました。 こうした状況を受けまして、今年度、同社では、経済産業省が示しました電力市場に関するリスクマネジメントガイドラインに基づきまして、市場リスク回避策等を検討しまして、新たな供給先施設の開拓凍結や、八月からは電力供給のセーフティーネットである最終保障供給料金と同水準である二割の料金値上げを実施しております。これらの対策と市場価格の落ち着きにより、同社の経営状況は一部改善の兆しが見られますが、ウクライナ情勢や為替動向など世界経済の先行きは不透明であり、今後も厳しい経営環境が続くと認識しております。 そのため、同社への最大出資者である県としましては、他の経営陣と連携しながら、現在策定している中長期の事業計画において、市場価格に影響されない固定価格で調達できる電源に数年かけて移行していく方向で議論するとともに、販売価格につきましては、他の小売電気事業者の販売価格の動向も踏まえながら望ましい水準を検討して、事業継続が可能となるビジネスモデルについて協議を重ねております。 県としましては、今後、本県の産業部門におけるサプライチェーン全体の中での脱炭素化が求められる中、再生可能エネルギーの導入拡大のほか、蓄電池や電気自動車などの分散型エネルギー資源の有効活用や水素の社会実装など再エネを最大限に生かした取組が重要であると考えております。こうした取組を進める上で、再エネの地産地消と供給基地化を目的とするやまがた新電力の役割はますます重要になると考えております。そのため、再エネの導入拡大と地産地消の旗振り役として同社が安定して事業が継続できるよう、他の経営陣と一緒になり取組を支援してまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 堀井健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(堀井洋幸君) 三点御質問をいただきましたのでお答えいたします。 まず、新型コロナ罹患後症状いわゆる後遺症の実態と今後の対応についてでございます。 新型コロナ後遺症の実態調査につきましては、本年四月から五月にかけて県内の医療機関を対象に実施し、主に従来株やデルタ株に罹患したと考えられる七十五名の症例が報告され、現在、フォローアップ調査を行っております。 一方、今年に入りオミクロン株による感染が急拡大したことから、現在、オミクロン株に罹患した方を対象に、改めて後遺症の症状や継続期間等を把握するための追加調査を進めているところでございます。今回の調査は、今年一月以降罹患した方に県ホームページから直接回答していただく方法と後遺症で受診されている方の状況を県内医療機関から回答していただく方法の二通りの方法で実施したところでございます。 本調査は、現在、締切り後の集計作業を行っているところでございますけれども、今後、保健所の医師に加えまして、後遺症患者を多数診療されておられる医師からも分析等に御協力をいただいた上で調査結果をまとめ、十二月中に概要を公表したいと考えております。 新型コロナの後遺症は、倦怠感やせき、味覚・嗅覚障害、息苦しさなど症状が多岐にわたり、どのような診療科を受診したらよいか知りたいとの声もいただいておりますことから、県では、症状に応じた医療機関を適切に受診していただけるよう、今年九月からコロナ後遺症コールセンターを設置しております。同センターに相談があったオミクロン株に罹患したと思われる後遺症患者三十六名の状況を見ますと、症状につきましては、六月に公表した前回調査の傾向と同様に、倦怠感が九件と最も多く、次いで、せき、頭痛がそれぞれ八件となっております。一方、味覚障害や嗅覚障害が少なくなっている点は、前回調査とは違った傾向を示しております。このたびの実態調査の結果とともに、コールセンターへの相談内容も併せて分析しながら、後遺症の実態を把握してまいりたいと考えております。 また、後遺症患者の診療につきましては、現時点では対症療法による治療が中心となりますが、先般、県医師会等から御協力いただき、後遺症の診療が可能な医療機関九十二か所を県のホームページで公表しております。診療可能医療機関のさらなる拡充を検討する中で、各地域の医師からは、「より多くの後遺症患者の診療経験がある医師から具体的な症例や対応等についてお聞きしたい」との意見もいただいておりますことから、今後、年度内に県医師会と連携して研修会を開催し、医療機関における後遺症への対応力の向上を図ってまいりたいと考えております。 県としましては、新型コロナの後遺症に苦しむ方が増えていることや、株の変異に伴いその症状の変化も見られることから、実態調査の結果を医療機関とも十分共有するとともに、研修会を適宜開催するなどして、後遺症における診療体制の充実につなげてまいります。 続きまして、ワクチン接種に伴う副反応についてでございます。 新型コロナウイルスワクチン接種に伴う副反応が疑われる症状のうち、急性のアレルギー症状を引き起こすアナフィラキシーや熱性けいれんなど、予防接種法施行規則の報告基準により定められた症状が生じた場合には、医療機関から厚生労働省に報告が行われ、その内容については、厚生労働省から都道府県に情報提供されることとなっております。 厚生労働省から提供された情報によりますと、本県においては、ワクチン接種が開始された令和三年三月から本年十一月までに延べ約三百二十八万回の接種が行われておりますが、医療機関から副反応疑いとして報告がなされたのは、計二百五十六件となっております。この内訳を見ますと、女性が約七割と多く、また、年代別には現役世代である二十代から五十代が約七割を占めており、また、このうちアナフィラキシーにつきましては十六件の報告がなされております。 ワクチン接種においてこうしたアナフィラキシー等の重篤な副反応が生じた場合、接種会場において速やかに処置や対応を行うことが重要となります。このため、厚生労働省では、接種後の健康観察体制に加え、重篤な副反応が発生した場合に備えた救急体制の確保などを記した「新型コロナウイルス感染症に係る予防接種の実施に関する手引き」を作成しております。この手引には、アナフィラキシー等の重篤な副反応が見られた際には、速やかな処置を行うため、まず、アドレナリン製剤など応急治療のための救急処置用品の事前準備や、速やかに治療や搬送ができるよう会場における従事者の役割の明確化、搬送先の候補となる医療機関等の選定や地域の医療関係者、消防機関との適切な連携体制の確保などが示されております。 県では、これまでも、各市町村に対しまして手引等の周知・確認と適切な対応を求める通知を行っておりますが、このたびの愛知県での事案を受け、改めまして注意喚起を行い、徹底を図ったところでございます。また、市町村と連携してオミクロン株対応ワクチン接種の巡回接種事業を県内十一か所で実施しておりますが、接種会場の従事者に対しまして、緊急時の対応手順を示し、適切な処置がなされるよう徹底を図っております。 県としましては、今後も、アナフィラキシー等の重篤な副反応が生じた場合の迅速かつ適切な対応をはじめ、安全面に最大限留意しながら、市町村や関係機関と連携し、希望される方が安心してワクチン接種を受けていただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、大人のひきこもりについてでございます。 まず、ひきこもりに関する調査でございますけれども、平成三十年度に実施いたしました困難を有する若者等に関する県の調査におきましては、その五年前に実施した調査に比べまして、ひきこもりの状態にある人の出現率自体は大きく変わらなかったものの、高齢化が進み、ひきこもりの期間も長期化している傾向が明らかとなっております。 こうした状況を踏まえまして、来年度実施が予定されている調査などを通じ、中高年のひきこもりの実態についてしっかり把握できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。 次に、大人のひきこもりへの対応でございますけれども、まず、ひきこもりの背景は多様でございまして、様々な要因が複雑に絡んでいることが多いため、支援策も一様ではなく、まさにお一人お一人の実情に寄り添った対応が必要となります。 県では、ひきこもりの特徴や対処方法、相談支援機関等を掲載した「ひきこもり支援ガイドブック」を作成するとともに、ひきこもりの第一次相談窓口として、平成二十一年に自立支援センター「巣立ち」を設置しております。この自立支援センター「巣立ち」におきましては、二人のひきこもり支援コーディネーターが医師の助言も受けながら相談対応に当たっており、ひきこもりの程度や期間、相談者の悩みなどを丁寧にお聞きし、必要に応じて訪問支援や居場所支援、就労支援を行う関係機関につなぐなど、支援のノウハウの蓄積があるNPOなどの民間団体とも連携し、対応しております。加えて、各保健所におきましても、保健師が電話や面談による相談のほか、必要に応じて訪問による相談支援も行っております。 議員からお話のありました専任の保健師の増強につきましては、現在、保健所においては、コロナ禍の影響の中、限られた人員で業務に対応している状況でございますけれども、今後は、コロナの状況も勘案しながら、必要に応じて保健師の業務の配分を見直すなど、適正な配置について検討してまいりたいと考えております。 また、ひきこもりの問題に関しましては、御本人への支援のみならず、御本人を支える最も身近な存在である家族が、過度なストレスを抱えたり、地域社会から孤立することのないよう支援を行っていくことも重要となります。このため、今後は、県内各地の家族の会とも様々な機会を捉え、関わりをさらに深めながら、連携して家族に対する支援の取組を進めてまいりたいと考えております。 県といたしましては、ひきこもりに悩まれている方々に対し、お一人お一人の実情に寄り添った適切な支援が一日も早く届くよう、市町村やNPO等の支援団体、家族の会など関係機関・団体とのさらなる連携強化に努めながら、ひきこもり対策に取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 地主農林水産部長。 ◎農林水産部長(地主徹君) サクランボを核とする県産フルーツの情報発信に向けた検討状況についてお答えいたします。 令和五年のやまがた紅王本格デビュー、令和七年のサクランボ栽培百五十周年という好機を捉え、プロモーションを強化し、サクランボを核とする県産フルーツの認知度向上を図るとともに、国内外から多くの方に本県を訪れていただくことは、本県果樹農業の持続的な発展のためにも重要なことであると考えております。 このため、九月補正予算においてプロモーション関連予算を計上し、先般、農業・観光・商工団体との共同による推進組織「山形県さくらんぼ&フルーツPR協議会」を立ち上げたところです。 あわせて、情報発信の継続的な実施のための実行計画を本年度中に取りまとめることを目指しており、これまで議会で御議論いただいた点なども念頭に置きながら、生産者や民間事業者などへのヒアリング、さらには現地調査などを実施することも重要であります。 今年の六月定例会一般質問においては、「施設整備が絶対駄目だとか果樹王国の発信が不要というわけではない。しかし、発信手法として施設整備が最適なのか、世界から人を呼べる目玉を行政が用意できるのか」という御指摘をいただきました。御指摘のとおり、行政のみで集客の目玉を用意しようとすれば、予算もかさみ、民間の工夫や技術の進歩を取り込めないおそれも生じますので、こうした御指摘も踏まえ、民間事業者やコンサルタントなどから集中的にヒアリングを行ってきました。 その中では、既存施設の有効活用やデジタル技術の活用、さらには官民連携による施設整備の可能性など、より効果的な魅力発信、誘客手段があることなども意見として頂戴してきたところです。さらに、公共案件を数多く手がける専門家からは、行政が目玉をつくるよりも、むしろ目玉となるような事業やサービスを民間事業者が展開できる場を整備するという方法を採用してはどうかという意見も頂戴しました。つまり、行政が特定の建物を建てフルーツの情報発信や誘客を図るのではなく、民間事業者がアイデアとノウハウを生かして情報発信や誘客効果のある事業を行える拠点を官民連携で整備していく手法です。 例えば、平成二十九年に創設されたPark-PFIという制度では、都市公園に収益施設を設置したい民間事業者を公募し、財政負担を抑えつつ、官民連携で情報発信や誘客の拠点づくりを行うことが可能となります。また、指定管理者制度では、指定管理者である民間事業者が既存施設や屋外空間を生かした体験イベントを実施している例もあります。このように、様々な目玉を民間の発想でつくり、持続的に集客している事例が、近年では全国的に生まれてきております。 いずれにしても、民間のアイデアを生かすためには、県としての構想をしっかりと示し、民間事業者と対話しながら事業性や採算性を確かめていく必要があると考えます。今後は、これらの観点を踏まえ、ソフト、ハードのあらゆる手法を視野に、情報発信のための実行計画の作成を進めるとともに、来年度に向け、官民連携による事業の可能性を検討するための関連予算を盛り込むことを検討してまいります。 引き続き、全ての人から愛されるサクランボを核として、県産フルーツの魅力を多くの方に発信できるよう全力で取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 木造住宅耐震改修補助事業についてお答え申し上げます。 住宅の耐震化につきましては、平成十七年度に改正されました耐震改修促進法に基づき、県では、平成十八年度に山形県建築物耐震改修促進計画を策定し、令和十二年度までに県内の住宅の耐震化率を九〇%以上とすることを目標に掲げております。 この目標を達成するため、県では、市町村と連携し、耐震診断や耐震改修に対し補助するなどの取組を実施しておりますが、本県では、耐震性が不足している住宅の数が平成三十年時点で約六万六千戸に対し、耐震診断を受けた件数は少ない状況にございます。また、耐震診断を受け、改修が必要とされた場合でも、その後の耐震改修等の実施に至らないケースも多く見られます。 その主な理由といたしましては、第一に、これまで本県では地震等によって住宅が大きな被害を受ける例がそれほどなかったことから、耐震化の重要性と補助制度自体の認知が進んでこなかったことが挙げられると考えております。また、補助があっても改修工事は金額が高額であることや、住宅の快適性を上げるリフォーム工事とは違い、耐震改修だけ行っても直接的なメリットを感じにくいことなども挙げられると考えております。 こうした状況を踏まえ、今後の耐震化の取組のさらなる進展に向けて、まずは、耐震診断、耐震改修補助事業の利用者に対し、耐震診断や改修を行う際に分かりにくかった事項やちゅうちょした事項、実施に至らなかった場合の要因について聞き取りを行います。あわせて、住宅の耐震化に関する県民の意向を正確に把握するためのアンケート調査を実施し、詳細なニーズ分析を行ってまいります。その他、実際に所有者に改修を勧める立場である設計施工関係の事業者、市町村とも耐震化の今後の進め方について意見交換を行ってまいります。 こうした取組により把握した意見や改善点を踏まえ、改めて耐震改修の重要性や補助制度の周知・啓発を図るとともに、全面改修ではなくリフォーム工事と併せた筋交いや接合金物の増設などの部分補強であっても耐震化に有効であることや、費用面での有利性なども十分に周知していく必要があると考えております。また、ニーズに合わせまして、耐震シェルター、防災ベッドの設置、壁補強工法など多様な手法の活用を促すための取組を検討してまいりたいと思います。 県といたしましては、今年三月の福島県沖地震や令和元年の山形県沖地震など、近年大きな地震が発生しておりますことから、以上のような取組を進めることにより、今後も県民の皆様の命を守る住宅の安全確保を図ってまいりたいと思います。 ○議長(坂本貴美雄議員) 高橋教育長。 ◎教育長(高橋広樹君) 私には郷土愛を育むウインタースポーツの取組についてということで御質問をいただきました。 スキーやスケートなどウインタースポーツに親しむことは、雪国ならではの自然の美しさや醍醐味、風を受けて滑走する爽快感などの魅力や楽しさを通して、ふるさとへの思いを育むきっかけになるものと考えております。 令和六年二月には、第七十八回国民スポーツ大会冬季大会スキー競技会が「やまがた雪未来国スポ」として開催されます。県教育委員会といたしましては、国スポの本県開催を通して、県民に元気や感動を与えるとともに、美食や美酒、豊かな自然、温泉、精神文化など山形ならではの魅力を全国に発信できるように準備を進めているところであります。 本大会では、平成二十六年に開催された「やまがた樹氷国体」の成績五位を上回ることを目指し選手強化を進めており、具体的には、県内で練習できないオフシーズンには北海道や海外に遠征を行うほか、大会本番で地の利を生かせるよう、会場となる赤倉、坊平、蔵王の各スキー場で合宿を重ねるなど、効果的な強化対策に取り組んでいるところであります。 国スポの地元開催により、多くの県民が本県選手の活躍を間近で観戦することで、ウインタースポーツへの理解や関心が高まることが期待されます。「やまがた雪未来国スポ」以降も継続的に強化対策に取り組むためにも、しっかりとした成績が残せるように頑張ってまいりたいと考えております。 高校の授業等においてウインタースポーツに取り組むことは、子供の頃に知ったスキー等の楽しみが高校卒業後にもつながり、ひいては、生涯を通じてウインタースポーツに親しむきっかけとなることが期待されます。一方で、ウインタースポーツは、現行の学習指導要領においては体育授業の必修とはなっておらず、限られた体育の時間数の中で取り組むことは難しいものがあり、学校行事として取り組むにしても日程的に容易でないことから、県立高校において授業や学校行事にウインタースポーツを取り入れております学校は、スキーが四一%、スケートは四%という状況になっております。 県教育委員会といたしましては、体育におけるスポーツを通じた豊かな人生を考える授業の中で、ウインタースポーツの魅力と併せ、県内にはウインタースポーツを楽しむことができるすばらしい環境が身近に整っていることをしっかり伝えるとともに、スキー授業等の際には、スノーボードやスケート等、生徒が希望する種目を選択できるようにするなど様々な工夫を凝らしながら、子供たちが生涯にわたってウインタースポーツに親しむよう促してまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、休憩いたします。 午後一時再開いたします。     午後零時十六分 休憩     午後一時零分 開議 ○議長(坂本貴美雄議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑及び質問を続行いたします。 十七番五十嵐智洋議員。 ◆17番(五十嵐智洋議員) このたび一般質問五回目の登壇となりました。情報通信技術の進化により発信方法は広がりましたが、時は変われども政治家の本分は弁論であり、多くの機会をいただいた自民党会派諸先輩にお礼を申し上げ、特に島津政調会長の御配慮に心から感謝申し上げます。 さて、現在の山形県政は、国政野党である立憲、国民、共産、社民などが与党と認識される革新県政です。革新政党とは、政権与党自民党の大企業や経済団体からの多額の政治献金を批判し、政治と金の問題を今国会でも追及しています。また、革新政党とは、弱い者の味方、強きをくじき弱きを助ける政治哲学をお持ちと考えますし、多くの県民も同じイメージを抱くと思います。 しかし、今の山形県政は全く真逆。立場の弱い非正規で働く多くの女性に北風が吹き、若い世代の県外流出が止まりません。県主導の既得権益は徐々に広げ、仲間や労働貴族のような層に温かい政治ではありませんか。 このようなことが長く続いた結果が、人口減少、とりわけ出生数の激減に顕著に表れています。吉村知事就任の平成二十一年度、県出生数は八千八百八十人でしたが、令和三年度五千八百九十八人、十二年間で三千人も少なくなりました。減少率三三・六%。日本全体の減少率は二四%台ですから、いかに山形県の出生数減が大きいか分かります。 県庁所在地の山形市はどうか。平成二十一年度二千百五十三人が令和三年度は千五百六十四人まで六百人も落ち込み、減少率二七・四%、全国平均より高い値です。県都でこんなに出生数が減るのは山形がワーストの部類でしょう。 周囲の町はどうか。中山町五一・二%、河北町五二・九%、白鷹町五八・〇%減少と、十二年間で生まれる子供の数が半分以下、極めて厳しい現実です。三町とも山形市から三十分圏内。雪も比較的少なく、山形のベッドタウンとして子育て世代から支持されてもよいはずの町で子供が少なくなるのはなぜか。若い女性が離れているからであります。山形市が受け止められず、仙台圏や東京に流出していることが分かります。若年女性流出の大きな要因が吉村革新県政発のものであることを指摘しなくてはなりません。 知事部局臨時職員の十か月雇用問題、以前も取り上げました。平成二十三年、臨時国家公務員に育児介護休業法が施行され、県にも準ずるよう通知が再三ありましたが、十か月雇用で権利なしとスルーし、会計年度任用職員に移行しました。低賃金、不安定の象徴である十か月雇用に落胆して県外に出られた方は相当の数になったのではないか。 国の臨時公務員待遇改善に最も力を入れたのは、社民、共産の革新政党であります。私は、十か月雇用を検証するため、社民、共産議員の当時の国会質疑を大いに参考にしました。国臨時公務員の福利厚生が前進したのは、社民、共産の努力によるものでもあり、一生懸命働く立場の弱い人のために頑張る、これが革新政党の真骨頂だと思いました。十か月雇用は、人口が多く、若い女性も多かった昭和の雇用形態の遺物です。執行部が改めなければ、革新政党が知事に談判し、通年雇用にして給与を上げ、人並みの福利厚生にするべきだったのではないでしょうか。 山形県社会福祉事業団の女性は五七%が臨時職員、山形県社会福祉協議会の女性は何と七五%が臨時です。役員の待遇は拡大し、名誉職で間に合っていた会長職を常勤に、年俸を五倍にするなどは電光石火だが、臨時職員の待遇は何年も何年も変わらない。低賃金、希望なし県外流出予備軍多数でしょう。 置賜広域病院企業団トップの企業長は、県職員退職者の再就職先となりました。令和元年度まで一部事務組合直営で二十年近く運営してきた給食調理部門が令和二年度、外部の専門業者に委託されました。人手不足解消、効率化のためとの理由ですが、外部業者に移行した調理職員は僅か三分の一、三分の二は退職などの道を選択しました。なぜか。賃金がぐっと下がり、身分も不安定になるからです。では、民間委託して人手不足は解消されたのか。答えは否、ノーです。低賃金による調理員不足は、解消どころか逆になっています。地元業者から仕入れていた県産農産物も委託業者直接となり、大幅に減りました。経費削減を狙った公立置賜総合病院の方針が地域雇用を奪い、低賃金に置き換わり、人手不足、高齢化が進む結果となりました。民間の高齢者施設などでも、雇用を守り、地元食材を提供するため直営しているところは多くあります。公立置賜総合病院も安易に民間委託に走るべきではなかったと苦言を呈します。 会計年度任用職員は一日六時間しか働けません。フルタイムにして賃金を上げ、年間十七億円にも十八億円にもなる知事部局時間外手当を削減し、県民が汗して納める税金の有効活用、働き方改革に資するべきでしょう。民間の賃上げを叫ぶ革新政党や連合、労働組合は、足元の会計年度任用職員待遇改善に真っ先に取り組むべきではありませんか。ぜひ私と一緒に闘っていただきたいと思います。 知事は、自身の後援会政治資金パーティーで、山形県が全国幸福度ランキングで七位になったと紹介しました。一部都合のいい数字を切り取るのではなく、若年女性人口流出全国トップ、女性賃金四十四位、人口千人当たり婚姻率全国四十四位など、女性を取り巻く不都合なランクが改善せず、持続可能な地域づくりに赤信号がしきりに点滅していることに真剣に向き合うべきです。若い女性の賃金が上がり希望が持てるようになれば、県内に定着、納税、消費し、家庭を持ち、子供が生まれます。まちの絆もよみがえります。つまり、女性に投資すれば何倍も還元され、地域が生まれ変わることを認識すべきです。 革新県政が正論に耳を傾け、一生懸命頑張る人に目を配り、弱きを助ける方向に軌道修正し、県内市町村最大の課題である出生数減に歯止めがかかることを期待し、質問に移ります。 出生数が減り続ける状況を打開するには、男性の育児休業取得推進を図ることです。山形の男性は日本一育児・家事に協力的と評判になれば、県内外から注目され、山形県に残りたい、山形の男性と家庭を持ちたいと考える方が増えます。婚姻率が上がり、出生数の減少に歯止めがかかります。 六月定例会、男性教職員の育休取得を教育長に提言いたしました。「県議会やまがた」に私の記事が掲載され、御覧になった教員の方複数からお電話をいただきました。内容は、「五十嵐議員、よくぞ言ってくれた。これまで男が育休など言い出せない雰囲気だったが、教育長答弁を受けて学校でも話題にできるようになった」「男性育休は教員の世界ではまだと諦めていたが、県議会議員が、それも自民党の議員が議会で発言し、教育長が三〇%以上取得を目指すと約束したことの意義は大きい」「各教育事務所、学校管理職もこれまでの慣習や忙しいからなどの考えを改めることを大いに期待する」、などでした。 四月の改正育児休業法施行、男女平等の役割分担意識向上等、男性育休の機運は高まり、当たり前になってきます。理解のない企業は若い世代から敬遠され、社員採用にも影響があることは前回も申し上げました。先進的な企業、自治体も、イメージアップ、優秀人材確保のため積極的に取り組んでいます。 では、山形県知事部局はどうか。男性常勤職員の育児休業取得者数、令和元年度十一名、二年度二十八名と増加し、三年度は五十五名と、前年度の倍増近くとなりました。対象者八十九人に対し取得率は六一・八%と良好な数値ですが、この成果は、私が三年八か月前、県議会に当選して以来、人事課に男性育休の必要性を何度も訴えたことに呼応して、積極的に取り組まれたものと評価します。 ただし、取得日数は、残念ながら配偶者の育児の大変さを共同で分担するには大分足りません。五十五名のうち、一か月以上が十名、二週間以上一か月未満十七名、二週間未満二十八名。二週間未満が半数を超え、これらの中には、五日未満、僅か一日も含まれます。男性育児休業の趣旨に照らし合わせ、短い日数は「取るだけ育休」であり、評価できません。また、一日や二日育休を取得するのは事務的にも煩雑になることから、対象者全員に最低一週間、理想的には二週間程度の育児有給休暇を付与することを提案いたします。 男性が育児、家事を分担することが男女共同参画社会実現の基本でもあり、確実に出生数増加につながります。首都圏の自治体では、積極的に男性育休支援策を打ち出し、かつ実践しています。千葉市は、二〇年度男性職員育休取得が既に九二%、九二%です--を超え、二四年度に一〇〇%を達成しようとしています。横浜市も二五年度一〇〇%を目指しています。埼玉県警は昨年、育休取得の支援策を導入、二か月以上の育休取得者が所属する警察署に応援の人員を派遣するなど積極的に推進しています。人口も多く婚姻率の高い首都圏に負けず山形県が男性育休取得を進めなければ、ますます女性の流出は増加し、出生数の減少に歯止めはかけられません。 県は、職場とパパのための「男性育休のススメ!」を作成しました。男性育休のメリット、大きく変化している世の中の動き、若い人の意識等が書かれ、男性新入社員の約八割が育休を取得したいと回答したとあります。すばらしいリーフレットを出版した県が率先し男性育休を進める義務があります。 令和三年度、知事部局は六割を超えました、教育委員会、県警察よりずっと上ですなどと、低いものに優越感を覚えることなく、「取るだけ育休」でない取得日数増加、理想的には一か月以上を目指す。全員に有給休暇一週間以上付与を早急に検討し取り組まれることを提案しますが、総務部長の考えはどうかお尋ねします。 十月十三日、セクシュアルハラスメントに係る主査級職員の懲戒処分が発表されました。令和二年度から四年度まで、同じ課の複数の女性職員に対し不必要に体に触れる行為を繰り返すなどのセクハラ行為を行ったとの概要で、処分内容は停職二十日の重いものです。管理監督者の処分は、部長級、次長級、課長級職員が文書訓告、課長級職員厳重注意。再発防止策は、各所属にハラスメント対策推進員を設置、現在の窓口に加え各部局に相談窓口を増設、管理職等を対象とするハラスメント防止等に関する研修の実施とあります。 文書を見て、真剣にセクハラ防止に取り組む決意があるのかとの疑念を持ちました。当事者の行為は悪質なものであり、責任は重大だと思います。それより増して反省すべきは、セクハラ行為を受けた複数の女性職員は、不快だとサインを出し、非難の声を必ず上げたはずなのに、長い間見過ごされていた。周囲があるいは見て見ぬふりをしていたのではと指摘されても否定できないことにあります。セクハラを受けた方の苦痛はもちろん、見たり聞いたりした職員の嫌悪感、やめさせる行動を起こさない上司に対する不信感はいかばかりかと推測します。事案の根深さは、長い期間表面化しなかったことにあります。 私は、令和三年六月定例会で大瀧総務部長にハラスメント防止を質問しました。部長は、知事部局における相談窓口への相談件数は、令和二年度、パワハラ八件、セクハラ関係が二件と答えました。たった二件です。具体的防止の取組として、職員がハラスメント防止意識を高めるため、管理職から一般職まで研修を実施、全職員を対象に気づきや防止意識を促すための啓発チラシやセルフチェックシートの活用等を進めてきたと答えました。 停職処分を受けた主査級職員も、訓告、注意を受けた管理職も研修を受けたわけですから、どのような行為や言動がセクハラに当たるか理解していたはずです。しかし、令和二年度知事部局相談窓口に寄せられたセクハラ二件に主査級職員の事案は含まれていません。セクハラ行為が長い間相談に至らなかったことが問題の根深さを物語っています。 不快な行為を受けていても、声を上げ上司や窓口に相談すれば職場の雰囲気が悪くなる、逆恨みされるのでは、自分だけ我慢すれば、相談しても適切に対処してくれるかどうかなど、いろいろな葛藤で訴えることができなかったのではないか。 このたびは、被害を受けた職員のプライバシーに配慮し、処分を受けた当事者、管理監督者の部署や氏名は非公開でした。この事案が窓口に相談がなかったことでお分かりのように、ハラスメントは相談や苦情に表れる何十倍もあることを想定しなくてはなりません。 私は、総務部長にアンケートを実施して実態を把握すべきと提言しましたが、行った気配はありません。実行していれば、この事案は早期に表面化し、対策が講じられ、被害を受けた女性職員は早く救われていたはずです。知事部局全体の認識の甘さ、危機感の欠如ではないですか。 先進的な民間企業は、ハラスメント防止に会社のトップ自らが率先し、社員の先頭に立っています。パワハラ、セクハラは会社の発展を危うくする重大な問題と認識しているからです。人事課は、管理監督者責任を当該部署のみで収めました。セクハラのない職場に生まれ変わろうとする気概は感じられません。二年にもわたり放置された原因はどこにあるのか、県庁の風土に問題はなかったのか、大いに反省し、知事、副知事が先頭になってセクハラ撲滅の決意を示すべきです。 改めて、セクハラ防止、働きやすい職場環境のため、全職員、会計年度任用職員も含めたアンケート実施を要求します。今は、紙を配付し回収などの必要はなく、ホームページ上で匿名が担保され、事務方の手間も少なく行うことができます。回答に表れる実態を検討し、セクハラのない職場づくりに取り組む必要がありますが、総務部長の答弁を求めます。 飯豊町に電気自動車と自動運転の教育、研究を学ぶ専門職大学が文部科学省から認可され、来年四月開学します。飯豊町は、最盛期人口一万六千人でしたが、現在は約六千五百人。過疎に悩む町が、一学年定員四十名、百六十人の若者を迎える大事業に挑戦しています。 同町には、昭和から平成にかけ東芝系列企業が操業、多くの若者を雇用していましたが撤退、人口減少の引き金になりました。そのため町は飯豊電池バレー構想を掲げ、撤退した工場跡地を利用し、電池研究の一貫した開発拠点となるxEV飯豊研究センターを創設しました。専門職大学は、同敷地内に校舎、自動車走行実験場などを併設しています。学長には日本EV開発の先駆者とされる清水浩慶大名誉教授を予定し、教員は二十三名を数えます。電気自動車開発に必要な電池、駆動装置、車体構造、情報通信、自動運転を一か所で学ぶことが特徴で、産業界、自動車業界からの注目度も高い、東北初の専門職大学です。 また、飯豊町に居住し、学び、若者が地域の文化や食習慣に触れ、日々、人々との絆を深めてほしいと町民の関心も高まっています。これまで、産業技術イノベーション課、置賜総合支庁地域産業経済課等から認可、情報収集などの面で真摯に対応いただいたと、町当局は感謝しています。 期待が高まる専門職大学ですが、学生募集に苦労しています。認可前の募集はできない決まりで九月からの学生集めとなるなど、募集開始のスタートが遅れ、今年度の大学入学共通テストにも参加できない状況です。また、知名度の低さ、少子化で地方の私立大学定員確保が困難であること、町内に学生向けアパートが少なく、公共交通機能が脆弱であり、アルバイト先も限られるなど、生活面での条件も関係していると思われます。学長自ら、教員も東日本の高校を訪問し、受験者に学校の説明を行っていますが、受験生確保は進んでいません。 先日、町担当者とお会いし、専門職大学の理念、特徴、学びの内容、町の支援体制など詳しく伺ってきました。自動車は、化石燃料車が衰退し、EV電気自動車が間もなく主流となります。もちろん、自動運転の技術も飛躍的に発達、人間の誤った判断による事故などはなくなる時代が目の前に来ています。これらを考えれば、電動モビリティシステム専門職大学は即戦力の学士を養成する有望な大学として将来は明るく、卒業生は自動車業界だけでなく様々な分野から引く手あまたと思いますが、現実の学生集めは思うに任せない状況です。 飯豊町の将来をかけた挑戦の成功を願いますが、飯豊町電動モビリティシステム専門職大学の認識と学生確保に対して支援する方策はないか、産業労働部長の答弁を求めます。 高齢者介護施設は、基礎疾患を抱え、感染症弱者の御利用者を日々お預かりしていることから、施設側の感染症に対する方策は、平常でも万全に取り組んでいます。新型コロナウイルス感染症に対しても、当初のマスク、手袋、消毒薬の不足などにも耐え、徹底的な感染防止策を実行してきました。 しかし、県内各地域でも、介護施設、福祉施設等で一昨年からクラスターが発生、対応に追われてきました。県内では、十月末から爆発的に感染者数が増え、介護施設のクラスターが多く発生。これまでと違うのは、一施設の職員、入所者の感染がこれまでより圧倒的に多いことです。傾向として十歳代の感染が最も多く、学校等で感染した子供の家族に広がり、働き盛りに感染者が多くなります。 介護施設もこのような連鎖で、四十歳代、五十歳代の職員が感染、入所者にも多く発症の経過をたどっています。一施設で二十人、三十人の職員が感染、また、家族、利用者の濃厚接触者で自宅待機となれば、施設運営に大きな支障を来し、同じ法人内のデイサービスを休止、新規入所者の受入れを中止せざるを得ない例が多く起こっています。介護サービスを受けられなければ、フレイル、虚弱化が進み、身体機能低下、認知症悪化につながり、家族が介護のため仕事を休んでなどの損失も発生します。 また、施設側は、介護報酬、利用料減収の経営危機に直面しています。仮に一日平均三十名利用するデイサービスを二十日間休止した場合の減収は五百万円を超えます。長引けば長引くほど深刻となり、コロナ禍で不況にある介護施設に支援の手を差し伸べなければ、利用者、利用者家族にも影響があり、ひいては医療費増大など社会問題に発展するでしょう。介護施設への経済的支援は国の交付金による高齢者施設等物価高騰対策支援金のみで、これは原油価格・物価高騰に係る支援金ですから、コロナ禍での減収を補填するものではありません。 では、毎月減収が続き、資金繰りにも窮している施設はどうすればいいのか。金融機関からの有利な貸付けに頼らざるを得ません。独立行政法人福祉医療機構の新型コロナ感染症で影響を受けた福祉関係施設向けの優遇融資メニューがあります。感染者が発生した入所施設には一億円までの無担保貸付けを行っています。それだけ全国で資金繰りに困っている施設があることが分かりますが、この融資制度の難点は、保証人が必要なことです。社会福祉法人は、利潤を追求するのではなく、御利用者によりよいサービスや環境を適正価格で提供する組織であるため、理事長や理事、役員等に何千万、億の借入れに保証人をお願いするのは酷ではないかと思います。また、保証人が必要なら融資を諦める施設もあると考えます。 この融資制度では、保証人が要らない制度があり、しかしその場合利率を〇・〇五%上乗せとあります。介護施設のコロナ感染症拡大による収入減は、施設側の努力では限界に来ていることから、融資は原則無担保、無利子、無保証が本来当たり前と思います。 私は、介護施設の窮状に鑑み、一例として、保証人不要の上乗せ利率を県が肩代わりするなどの手を差し伸べ、経営が持続できるよう支援すべきと考えますが、健康福祉部長の答弁を求めます。 八月三日からの豪雨で、国道百十三号飯豊町手ノ子地内道路が崩落、新潟側も通行不能となり、小国町は一時孤立しました。手ノ子地内の通行止めは六日午前零時解除されましたが、現在も全面復旧とはならず、片側通行が続いています。五十三時間続いた復旧まで、県道八号川西小国線、通称九才峠が流通の確保、町民の暮らしや健康を守るために臨時迂回路として最小限の交通確保に役立ちました。 九才峠を国道百十三号のしっかりとした迂回路として整備し、通行止めが起こらないようにとの要望には、狭隘で豪雪地帯でもあり、雪崩の危険性もある。整備には多額の予算が見込まれ、通年車両が通れるような改良は不可能というのが現在の県の考え方です。 百十三号の通行止めは、災害によるものばかりではありません。大型車の交通事故、特に、冬期間のスリップなどにより、時間の長短は別として毎年起きています。飯豊町手ノ子から小国中心部までの区間は脆弱な部分も多く、経年劣化による道路橋梁欠損などの危険性を常にはらんでいます。 少し違った観点から提言いたします。 八月に発表された令和元年度市町村民経済計算の推計結果、一人当たり市町村民所得で小国町は三百二十三万二千円。山形市を上回り、東根市に次ぎ二位に上昇しました。人口六千八百人の過疎の町が驚くほど町民所得が高いのは、東京に本社があるクアーズテック社の主力工場が小国町で操業、同じく日本重化学工業山形事業所小国工場の大企業二社の企業城下町として長年栄え、町民の勤勉性と相まっているのが要因です。 クアーズテック社は半導体向けセラミックス製品が主力で、小国工場は自動車、パソコン、スマートフォンに使われる製品を製造し、同社の従業員二千百人のうち、約八百人が小国事業所に勤務しています。 同社は、小国事業所などに三百人増員すると七月に発表。世界的に半導体不足が続く市場の需要に応じようとするもので、親会社のアメリカコロラド州にある米国クアーズテック社の取締役会で増員計画を承認したと発表されました。 半導体製造分野で韓国、アメリカから後れを取り、経済失速の原因となった日本。半導体不足からトヨタが減産せざるを得ない状況と報道されたことは記憶に新しいところです。世界的に重要な企業であるクアーズグループの主力である小国工場が、通行止めで物流が途絶え、製品製造に支障があり、その懸念が常にあるなどの事態は、日本経済にも大きな影響を及ぼします。 米国クアーズテック社の社長も務めるジョナサン・クアーズ社長は、日本文化にも精通した人物です。小国工場は相撲が盛んで、コロナ禍前は、社内でも町民を交え盛大に相撲大会を実施。ジョナサン・クアーズ社長が出張し、自らまわしをつけ相撲を取っていました。相撲が大好きで、琴ノ若をほうふつとさせる強さだったそうです。 このように小国町に貢献し地域に根差した世界的企業クアーズテック社ですが、町民、町議会が最も心配しているのは、お粗末な山形県の道路行政に絶望して小国工場が他県へ、具体には新潟県に移転するようなことにならないかであります。小国工場で、日本経済も下支えしている同社もアメリカ資本です。合理主義の取締役会で「山形県ノー」と突きつけられる可能性があると想像しなくてはなりません。クアーズテック小国工場が山形県から撤退などとなれば、県、小国町が被る経済損失、信用失墜は計り知れないことはお分かりと思います。 この観点から、県道八号川西小国線九才峠を百十三号の迂回路として整備することを改めて要望します。 豪雪地でもあり、冬期間は安全面から通行止めはやむを得ないとして、春から秋に迂回路として十分な機能を持たせるため狭隘部分を拡幅するなど、大型車も通行可能なように改良すべきであります。冬期間の通行止め、片側通行は、主に交通事故や道路凍結による大型車のスリップ、脱輪などで道路を塞ぐことにあり、かつ復旧を早めるには、牽引作業の能力アップで解決できます。九才峠を春から秋までの迂回路としての機能を持たせ、冬期間通行しなければ防雪柵、雪崩止め、除雪作業などは不要であり、予算も相当抑制されます。 県道改良には費用対効果が求められます。日本経済を支えるクアーズテック社、日本重化学工業が安心して操業できる環境が整えば、町の雇用、人口を維持、県税もたくさん納めますから、県内一費用対効果の高い道路改良と断言します。 コロラドは山形県の姉妹州でもあります。広い視野で国道百十三号の迂回路整備、通行止め対策に取り組まれるよう強く要望しますが、県土整備部長の答弁を求めます。 文部科学省は、二〇二二年度の公立小学校教員採用倍率が過去最低の二・五倍と発表しました。山形県の採用倍率は一・五倍で、全国平均よりずっと低く、質の低下、早期離職などが問題になっています。 教員の激務、長時間労働は社会問題となり、改善が喫緊の課題ですが、なかなか進みません。理由の一つとして、長引くコロナ禍による教員の負担増、また、ICT教育、情報通信技術を活用した授業が進められていることにあると思います。パソコン、タブレットを使えば生徒にも教員にも多くのメリットがある。楽しみながら学習ができる。黒板に書く、プリントを作る手間が省け、情報が共有できるなどの長所が列挙されています。しかし一方で、ICT教育は若い世代に負担がかかり、長時間労働の改善に至っていないのではと心配します。 採用五年目までの教員退職者数は年々増加しています。どんな職種でも採用から期間がたたずに辞める社員は一定割合いますが、志高く自分の意思で教員の道に進まれた若者が退職することは大きな損失であり、検証が必要と考えます。 私が小・中学生だった昭和三十年、四十年代、山形県は教育県である、学力は全国トップクラスで長野県と争っている、一生懸命勉強しなさいと教えられました。ゆとり教育の時代ではありませんが、しかし、先生個人に裁量権、自由さがあったように思えます。 中学校国語の授業、受持ちの女性の先生は、度々朗読の時間に充て、本を読んでくださいました。祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。--御存じ、平家物語序章です。教室に響き渡る朗々とした声で、生徒の耳目を引きつけ、一時間、臨場感たっぷりに、あるときは里見八犬伝、あるときは芥川龍之介などを読んでくださり、先生は、「はい、今日はここまで。興味のある人は自分で本を借りて読みなさい」とおっしゃいました。多感な五十嵐智洋少年は、放課後、図書館に直行、続きを貪るように読んだものでした。 電車が来るまで、受診を待つとき、視察時のバス移動など、小説を取り出せば楽しく、長い時間もあっという間に過ぎます。読書の習慣が身についたのは先生のおかげと今でも感謝をしております。 産休、育休の代替教員が不足している、講師も同様。現場では代わりの先生は来ないものとして担任外の教員などが何とかやりくりしている。定数改善、教員の正職員を増やすべきだという切実な声があります。しかし、出生数は年間二百人、三百人減少し、公立学校の数も減ります。この現実では教員を増員することは難しく、発想の転換と創意工夫が求められていると考えます。ICT教育であればしっかりと予算を組んで外部の専門家を講師として招聘する、定年延長による教員を活用し長時間労働を改善する、二十代、三十代の教員から年上の教員や管理職が提案を受け入れる逆メンター制の導入、などであります。 二一年度、教職員の超過勤務、過労死ラインの八十時間を超える人数は一九年度と比較し大幅減と発表されましたが、しかし、多くが果たして実感できる状況でしょうか。 今、学校は、教育事務所は、教員に真面目さ、一生懸命さの上書きを要求していませんか。教員の働き方改革とは、長時間労働の是正はもちろんあります。もっと重要なのは、型にはめるのではなく、古きよき時代のように、若い先生にもある程度裁量権を持たせ、児童生徒と真摯に向き合うことで教師人生に喜びや達成感が得られる環境をつくることが肝要なのではないでしょうか。長い目で教員を目指す若者を増やすには、明るい顔で生き生きと教鞭を取る先生の姿を子供たちに見せることが大切です。 教員の働き方改革に向けた教育長の答弁を求めます。 熱心に耳を傾けていただきましたことに感謝をし、終わります。 ○議長(坂本貴美雄議員) この場合、答弁を求めます。 答弁の順は私から指名します。 小林総務部長。 ◎総務部長(小林剛也君) 五十嵐議員から私に二問御質問がございましたので順次お答え申し上げます。 一つ目は、知事部局男性職員の育児休業取得推進についてでございます。 全国的に少子高齢化や生産年齢人口の減少が急速に進み、共働き世帯の増加や仕事と生活の在り方に対する意識の変化が見られる中、男女が共に仕事と育児を両立できる環境を整備することは、我が国全体の大きな課題となっております。 こうした中、本年十月に地方公務員育児休業法が改正され、育児休業の取得回数の制限が大幅に緩和されました。具体的には、子の出生後八週間以内の育児休業いわゆる産後パパ育休の期間と子供が三歳に達する日までの期間にそれぞれ一回のみ取得可能であった育児休業でございますけれども、それがそれぞれ二回まで取得が可能となりました。この結果、男性職員は最大四回まで分割して取得できるようになり、育児休業の取得促進に向けた制度面での整備が図られたところであります。 本県知事部局における男性職員の育児参加の推進につきましては、令和三年度に策定した山形県特定事業主行動計画において、令和七年度までに育児休業取得率一〇〇%を目標に掲げており、知事を本部長とするワーク・ライフ・バランス推進本部の重点取組方針の一つとして、様々な取組を推進しております。 具体的な内容でありますが、まず一つ目として、管理職の意識改革を促す観点から、吉村知事を筆頭に全ての部局長や所属長がイクボス宣言を行い、職員の仕事と家庭生活の両立に向けて自ら実践する内容を掲げ、働きやすい職場づくりを推進しているところでございます。 なお、所属長の意識啓発という点では、課長級などの人事評価において、令和三年度から、部下職員が育休等を取得しやすい職場環境づくりに意を用いているかどうかという人事評価項目を追加しております。人事評価の面からも実効性を上げるための取組を進めているところであります。 次に、二つ目としては、今年四月に育休条例を改正し、子が生まれる職員に対する育児関連制度の周知や意向確認等の措置を義務化したところでございます。知事部局では、法改正以前より職員一人一人の意識啓発を促すため、子が生まれる男性職員に対して、所属長が激励メッセージを添えて子育て支援ハンドブックを手渡し、育児休業等の取得を推奨してきたところであります。 三つ目としては、育児休業中は法律により無給となっておりますが、そうした経済面への不安に応えるため、県職員互助会の給付金制度について、本年十月から給付対象期間を拡大いたしました。具体的には、これまで育休八日目からもらえていたところを初日からもらえるということで、育児に関する経済補償のさらなる充実を図ったところでございます。 こうした取組の結果、知事部局男性職員の育児休業取得率は年々増加し、今年度十月末時点で七二・七%となりました。過去最高であった昨年度の六一・八%から一〇・九ポイントの増加となりました。また、育児休業の平均取得日数も、今年度は一か月を超えまして三十六・五日となり、昨年度の二十七・五日から九日間増加となりました。一か月を超える取得者数の割合も三四・四%となりまして、昨年度の一八・二%からほぼ倍増となりました。これに伴い、取得日数が二週間未満の取得者数の割合は三七・五%となり、昨年度の五〇・九%から一三・四ポイントの減少となり、これまでの様々な取組の成果が具体的な成果となって表れてきたものと認識しております。 また、議員御指摘の育児に関連した男性職員の有給休暇についてですが、これに類似する育児参加休暇を平成十七年度に整備し、五日間の取得が可能となっており、本年十月からは、取得可能期間も従来の「出産の日後八週間まで」という規定から「出産の日以後一年を経過する日まで」に拡充いたしました。今年度の取得率は、十月末時点で七七・三%となり、昨年度の六〇・七%から一六・六ポイントと大幅に増加しており、こちらも令和七年度までの取得率一〇〇%の目標達成に向け、引き続き取り組んでまいります。 男性の家事・育児参加を促進していくことは、女性活躍を加速する上で不可欠であることに加え、男性を含めた働き方改革や少子化対策など、社会全体の課題解決の契機になるものと考えております。引き続き様々な取組を強力に推進してまいりたいと思います。 二つ目の御質問であるセクシュアルハラスメントの防止でございます。 セクハラは、被害を受けた職員の個人としての尊厳を傷つけ、能力の発揮を妨げるとともに、職場環境や職務遂行に様々な悪影響を及ぼす行為であります。また、公務員に対する信頼を失墜させる、社会的に許されない行為でもあります。 本県では、職場におけるセクシュアルハラスメントの防止等に関する指針を平成十一年度に策定し、その防止に取り組んできたところですが、今回の事案発生を受け、対策を強化したところであります。 具体的な内容ですが、まず一つ目は総務部への速やかな報告であります。今回の事案では、セクハラが判明してから総務部への報告が速やかになされなかったという問題もありました。この反省も踏まえ、所属長等がセクハラを察知したり、あるいはセクハラの存在についてまだ確信が持てないという状態であったとしても、疑念を持つ場合には速やかに総務部に報告もしくは相談をするよう、十月には指針を改定し、周知徹底を図りました。この手続が有効に機能しているかどうか、私自身も常に緊張感を持って監視しているところであり、より有効な防止策があれば積極的に取り入れていきたいと思っています。 二つ目は職員研修の充実であります。これまではハラスメントに特化した研修は実施してきませんでした。このことから、先月末に、ハラスメント事案を数多く手がけ専門の著書も執筆している県外の弁護士を招き、管理職全員の出席を義務づけた研修を実施いたしました。講師からは、セクハラを含めたハラスメント防止に関し事例などを用いたレクチャーが行われました。受講者からも、「事例に基づいた説明で、どういった行為がハラスメントに該当するかということや、相談があったときの対応の仕方などがよく理解できた」との声が上がったところでございます。 三つ目ですが、相談窓口の充実であります。これまで本庁と各総合支庁合わせて六か所に窓口を設置し、計十四名の相談員が相談に応じてきたところですが、今回の事案を受け、新たに十一部局に相談窓口を設置し、相談員の数を合計三十六名へと増やすことで、より身近で相談しやすい体制整備を図ったところであります。 加えて、各所属へのハラスメント対策推進員の新たな設置であります。今回の事案を受け、各所属にハラスメント対策推進員として男女一名ずつ、合計二百三十九名を指定いたしました。職場内研修や朝礼等における定期的な注意喚起を通しながら、職場単位でのハラスメント防止に向け、きめ細かに組織的な対応を行うこととしたところであります。 セクハラに対する受け止めやその防止に向けた対応の仕方は時代とともに大きく変化していくため、一旦整備した対応策も常に見直しを図っていく必要があると考えます。時代や組織、仕事のスタイルなどに合わせて、より有効なものに変え続ける努力が常に必要だと考えております。引き続き、職員の声に耳を傾け、専門家とも相談しながら、迅速的確に対応を行ってまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 堀井健康福祉部長。 ◎健康福祉部長(堀井洋幸君) コロナ禍で影響を受ける介護施設支援について御質問をいただきましたのでお答えいたします。 長期化するコロナ禍により、介護事業所等においては、感染防止に係る職員の心理的な負担をはじめ、衛生管理に係る業務量や物品購入費用の増、感染を危惧しての利用控えや感染者発生時の事業の休止等による介護報酬の減、さらには職員自身や家族の感染により職員が出勤できないことによる人手不足など、事業運営に大きな影響が生じているところもあるとお聞きしております。 このような状況を踏まえ、県では、感染者が発生した事業所等に対する支援としまして、緊急に必要な防護具や衛生物資の提供、職員が不足した場合の応援職員の派遣のほか、施設内で療養を行っていただいたことなどに伴って掛かり増しした経費への助成を行ってまいりました。さらに、今般の感染の第七波、第八波に伴う感染者の増大への対応といたしまして、本定例会におきましても約二億三千二百万円の補正予算を計上してございます。 また、感染拡大防止を目的として、感染者の早期発見のため、介護事業所への抗原定性検査キットの配付を、国の配付事業のほか、県独自の取組といたしまして三回にわたり行ったところでございます。さらに、現在の感染拡大の状況を踏まえ、事業所内での感染を防止するため、職員及び新規入所者等を対象として週二回、三か月間の集中的検査を実施しており、希望のあった事業所に対しては検査キットを順次送付しております。現時点で、県内の検査対象事業所の半数を超える約千の事業所から実施したいとの申出がございました。 あわせて、経済的な支援といたしまして、コロナ禍による影響に加え介護事業所の経営を圧迫している原油価格・物価高騰の影響を軽減するため、高齢者施設等物価高騰対策支援金を交付することとし、現在、申請を受け付けております。 議員御指摘のとおり、コロナ禍により経営に影響を受けた事業所への資金支援としましては、独立行政法人福祉医療機構による新型コロナウイルス対応支援資金がございます。当該資金は、融資の対象により条件は異なりますが、一定額までの貸付利率が現時点で〇・五%と低金利であり、償還期間十五年以内のうち五年以内の期間で元金支払いの猶予を受けることができること、〇・〇五%の金利上乗せにより保証人が不要となることなど、他の融資と比較して大変有利で利用しやすい資金となっております。こうした点も考慮いたしまして、御提案のありました県独自のさらなる追加的支援の必要性につきましては、県内の介護事業所の状況や今後の感染動向等も踏まえて、なお精査してまいりたいと考えております。 介護サービスの休止や廃止には、利用者御自身のみならず、その御家族の生活にも直接影響が及ぶことはもとより、社会的にも影響をもたらすことも考えられます。県としましては、介護サービスが継続的、安定的に提供され、安心して利用していただけるよう、様々な関係者から御意見をお聞きしながら、必要な支援に意を用いてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 我妻産業労働部長。 ◎産業労働部長(我妻悟君) 電動モビリティシステム専門職大学についてお答えいたします。 電気自動車と自動運転に特化した世界初の高等教育機関である電動モビリティシステム専門職大学の開学は、県内企業の次世代自動車関連産業への参入促進を目指す本県にとって大きな強みとなるものであり、関連産業に従事する人材の育成・確保はもとより、県内企業との共同研究や共同開発、就業している県内技術者に対するリスキリングの実施、さらには、産業振興のみならず、若者の県内定着や地域の活性化など、様々な分野での貢献が期待できることから、県としても同大学との連携を進めていく必要があると考えております。 このため、現在、大学、飯豊町、県による話合いの場を設け、大学に対する支援や連携の在り方等について協議をしておりますが、その中で、当面の課題が学生確保であることから、これまで大学側の募集活動に加え、県としても学生確保に向けた対応・支援を行ってきたところでございます。 具体的な取組といたしましては、まずは大学を知ってもらうことが重要であるとの認識の下、十一月十六日付で県内全ての公立及び私立の高等学校校長宛てにパンフレットやオンライン説明会等の資料を送付し、生徒・保護者並びに教員の方々へ大学の特徴や入学案内に関する周知を依頼したほか、置賜総合支庁が開催した若者定着関係の会議において、参加した置賜管内の実業高校の進路指導教諭に対し、大学の特色ある授業内容や修得できる知識・技術などを直接伝えPRするなど、大学の学生確保に向けた支援を行ってきたところです。 来年度に向けましては、早い時期から高校生の進路先の一つとして認識してもらえるよう、県内高校の生徒及び教員を対象とした大学施設見学会や体験入学バスツアーなど、学生確保に向けた支援事業を検討しております。また、地域産業の振興や学生との交流を通した地域の活性化を目的に、大学、飯豊町、県、東北経済産業局や県内外の関連企業等で組織するコンソーシアムを設置することとしており、その中で、学生が集まりやすい環境の整備にも取り組んでまいりたいと考えております。 県といたしましては、電動モビリティシステム専門職大学がEV化において有為な人材を輩出することで全国から注目され、かつ大学を中心とした地域振興のモデルとなるよう、引き続き学生確保に向けた支援を行うとともに、大学、飯豊町、関連企業などの関係機関とも連携を図りながら、次世代自動車関連産業の振興に向けてしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 小林県土整備部長。 ◎県土整備部長(小林寛君) 国道百十三号迂回路整備、通行止め対策についてお答え申し上げます。 今年の八月三日からの大雨では、県南部で本県と新潟県とを結ぶ国道百十三号が小国町と飯豊町の境界付近で全面通行止めとなるとともに、新潟県内の国道百十三号においても県境付近で全面通行止めとなりました。これら二つの全面通行止めにより、付近に有効な迂回路がなかったこともあり、小国町中心部が一時孤立状態となりました。 なお、通行止め時には、国道百十三号を大きく迂回して、主要地方道川西小国線の九才峠を経由し小国町と飯豊町を結ぶルートが臨時的な迂回路として使用されました。しかし、山岳部を通り狭隘区間も多いため、その通行は限定的にならざるを得ませんでした。 豪雨災害等の通行止めによる孤立状態の発生は、県民の安全安心や物流の確保による経済活動の維持に著しい支障が生じます。このような事象を防ぐためには、本来、広域交通を担う高規格道路と直轄国道とのダブルネットワーク化が重要となります。本地域におけるダブルネットワーク化の実現のためには、新潟山形南部連絡道路における小国道路など事業中区間の早期完成と未着手区間の早期事業化が大変重要であります。これらについて、引き続き、政府等に対して、様々な機会を捉え、強く働きかけてまいります。 ただ、一方で、新潟山形南部連絡道路の完成にはまだ時間を要するのも事実であります。現時点で迂回路となり得る主要地方道川西小国線の当面の対応も必要であると考えております。そのため、短期的に対応可能なソフト的対策として、警察等の関係機関と連携しながら、非常時の通行方法について検討を進めてまいりたいと考えております。具体的には、主要地方道川西小国線の九才峠は、山間部で狭隘のため大型車の擦れ違いが困難であることが課題となっております。そこで、擦れ違い困難な一定の区間について、時間を区切って一方通行にすれば大型車の通行を確保できるのではないかと考えております。また、中期的には、ハード対策として、見通しの悪い区間や急カーブなどにおいて、大型車ができるだけ通行しやすくなるよう、待避所の設置や部分的な道路の拡幅が可能かどうかについて併せて検討してまいります。 県といたしましては、災害時においても県民の安全安心の確保や物流の確保による経済活動を維持できるよう、引き続き、災害に強い道づくりに向けて、様々な方策を見いだしながら、しっかりと取り組んでまいります。 ○議長(坂本貴美雄議員) 高橋教育長。 ◎教育長(高橋広樹君) 教職員の働き方改革について答弁を申し上げます。 学校現場におきましては、授業準備や部活動の指導、特別な支援が必要な児童生徒への対応など多くの業務がある中、新型コロナ対策に係る業務も加わり、教員の負担が増えている状況にあります。 働き方改革を進めている中、県教育委員会では、外部人材の活用といたしまして、学習プリントの印刷など授業準備のサポートやコロナに係る消毒作業等を行う教員業務支援員のほか、部活動の技術指導や大会時に引率等を行う部活動指導員等を配置して、教員の負担軽減に努めております。これら外部人材につきましては、さらなる確保充実に向けまして、政府に対し財政支援の拡充について提案しているところであります。 ICTの利活用に係る負担の軽減につきましては、市町村では、ICT支援員を配置し、タブレットの操作やICTを活用した授業の準備等について支援等を行っており、県立学校におきましては、IT関連業者への委託によりGIGAスクール運営支援センターを開設し、ICT機器の故障等への対応に加えまして、ICT機器やアプリケーションの操作に係る基本的な問合せ等にも対応しているところであります。また、ICTを活用した授業づくりに関しましては、県教育センターが校種別の優良な実践例を蓄積し、ホームページから教員が手軽に閲覧・活用できるようにしております。 今後におきましても、ICTの利活用に際し、教員が必要とする情報に容易にアクセスし、自ら課題を解決できるようになるための支援について、さらなる充実を図ってまいりたいと考えております。 本県教育の将来を担う若い教員が、心身ともに健康で創造性を発揮しながら児童生徒の教育に当たることは極めて重要です。このため、今年度より新たに、県教育委員会の人事担当者等が全ての校種の新採教員と面談を行い、近況を把握しながら、相談内容に丁寧に対応するとともに、各学校においては、複数の先輩教員が新採教員をサポートするメンターチームを立ち上げ、新採教員が授業づくりや児童生徒に対する指導方法等を考える際に、様々なアドバイスを気軽に受けられる体制を整えているところであります。 また、来年度からは新たに、小学校の大学新卒教員については、初年度はできるだけ学級担任を持たずに教科担任とすることとし、担任を持つ場合には、授業やその準備等をサポートする支援員を配置するなど、負担を軽減する措置を講ずることにより、伸び伸びと授業づくり等に取り組みながら、教員としての基礎づくりができるような環境を整えてまいりたいと考えております。 次世代を担う子供たちが健やかに成長していくためには、教員一人一人が充実感や達成感を感じながら子供たちと向き合っていくことが極めて重要であります。そのような教員の姿を見た子供たちが教師に憧れを抱き、将来職業として教職を選びたくなるような、教員が生き生きと働き、その力を発揮できる職場づくりに向けまして、教職員一丸となって働き方改革を進めてまいりたいと考えております。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって通告者の発言は全部終わりました。 質疑及び質問を終結いたします。 ○議長(坂本貴美雄議員) 以上をもって本日の日程は終わりました。 明八日から十三日までの六日間は議案調査、委員会審査及び休日のため休会とし、十四日定刻本会議を開き、予算特別委員長より審査の経過について報告を求めます。 本日はこれをもって散会いたします。     午後二時四分 散会...